『三乙女の礼拝』
三乙女の礼拝:
家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。
彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、
黄金、乳香、没薬を贈り物として献(ささ)げた。
(マタイによる福音書 第2章第11節)
『同級生2』より「鳴沢美佐子」「水野友美」「鳴沢唯」「篠原いずみ」です。
これはコンセプトとしては「同級生2御三家」(友美・いずみ・唯)揃い踏みのCGという点で、「八十八学園の『春』」および「ニーベルングの指環」連作(「ラインの黄金」「ヴァルキューレ」、以降「ジークフリート」「神々の黄昏」を制作予定)に連なるものです。
構想としてはずいぶん前、99年の秋か冬頃から温めていましたが、2000年の1月にはまだ当サイトを開設していなかったためもあって制作・公開することができませんでした。
サイトを開設して初めて迎える1月である2001年には、何としても1月5日に公開するように制作を急ぎ、1月4日に完成させました。
いずみ「800さん、どうしてそこまで1月5日にこだわったのかな?」
唯「元のゲームのイベントとは関係ないよね? 唯のイベントは5日でなくてもいいんだし、友美ちゃんのイベントもそうだよね」
美佐子「ここは800さんの話を聞きましょう」
いずみ「うん。題名の意味もよくわからないし、絵の下にすごく読みにくい字で書いてある文章の意味もわからないや」
800「あーそれでは。まず、元のゲームとは全然関係ない」

キリスト教、もっと正確に言えばローマカトリックとプロテスタント諸派は、キリストの降誕を12月25日とし、この日を降誕祭(Christmas)として祝っていますが、ロシア正教会などでは、キリストの降誕を祝って東方から博士たちが訪れた日を、神の栄光が異邦人にもあまねく現れた日として、降誕祭よりも重要な祝日としています。
顕現祭(Epiphany)と呼ばれるその日がいつかというと、降誕祭から12日目の1月6日で、英語では顕現祭をTwelfth Dayとも言います。
降誕祭の前夜(12月24日の夜)をクリスマスイブと呼んでいろいろな行事を行うように、顕現祭の前夜(1月5日夜)はTwelfth Nightと呼んで、クリスマスの飾りを取り外すなどの行事が行われ、降誕祭から始まった一連の祝祭は顕現祭で終わります。
顕現祭に東方から博士たちがベツレヘムを訪れてキリストの降誕を祝う場面というモチーフは、ヨーロッパでは中世からあまたの画家によって描かれてきたモチーフです。博士たちが何人だったかは、原典であるマタイ伝福音書には書いてありませんが、いつの頃からか3人とされるようになって、このモチーフは「三博士の礼拝(the Adoration of the Magi)」と呼ばれるようになりました。
この絵の題名「三乙女の礼拝(the Adoration of the Maidens)」は、言うまでもなくそれのもじりです。
また、人物の配置とポーズは「三博士の礼拝」を描いた絵の1つ、16世紀ドイツの画家デューラーの絵にもとづいています。
元の絵では聖母マリアに相当するのが美佐子、3人の博士に相当するのが友美・いずみ・唯です。元の絵はこのモチーフの絵としては珍しく、マリアの夫聖ヨゼフが描かれていません。
福音書では
「家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献(ささ)げた。」
(新共同訳聖書 マタイによる福音書 第2章第11節)
とあるように屋内の情景なのですが、デューラーの絵がそうであるように古来、屋外の情景として描かれることが多いので、私の絵でも《憩》の近くにある公園での出来事として描きました。

唯「ふーん、そうなんだ」
いずみ「……うーん、まだよくわからないな」
知美「所長のペダンチズムはもう、とどまるところを知らないですね、本当に」
800「『ラインの黄金』と同じで、3人の乙女を描きたかったのさ」
唯「つまり唯たち3人が、お母さんに赤ちゃんが生まれたお祝いに来たところだね……あれ?」
美佐子「どうしたの、唯?」
唯「800さん、この子のお父さんって、誰?」
いずみ「……まさか、竜之介?」
美佐子「いいえ、それはない……とは限らないかも……私だって……」
「お、お母さんっ!! お兄ちゃんは、唯の、唯の……!」
知美「ちょっと待って! 唯ちゃん、今のは聞き捨てならないわ、この私を前にして……!」
いずみ「何だよ2人とも、『恋愛は後出しOK』ってのを知らないのか!?」
美佐子「……娘と同い年の子に負けてたまるものですか。愛さえあれば、齢の差なんて……」
800「た、大変だこりゃ(汗)……
 そうだ、美佐子さんは、竜之介の父親と再婚したんだ、そういうことにしよう」
唯「えーっ、それじゃあ唯、お兄ちゃんと結婚できなくなっちゃうよぉ」
800「元のゲームの唯エンドは、美佐子さんが竜之介の父親と再婚したことになってるだろう?」
知美「所長、そうなったら法律上、鳴沢さんと竜之介君は結婚できないはずです」
800「だって元のゲームは……」
「そんなのやだぁ!!」
美佐子「ごめんね唯、お母さんは……」
「お母さんの馬鹿ぁ!! うわぁぁぁ〜〜〜〜……」
いずみ「よっしゃ、2人脱落したぞ!」
知美「ふっ、正直ね。恋愛が絡んだら友情は関係なし、私だって遠慮しないわよ」
いずみ「ふん、誰のSSを読んだって、私はいつも友美に勝ってるんだ」
知美「い、言ったわね、ここを友美萌えサイトと知っての発言かしら?」
800(うう、収拾がつかなくなった……)
(2001.1.5 2004.1.24, 2004.12.21コメント改訂)

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