『ニーベルングの指環』連作No.1 序夜『ラインの黄金』
ラインの黄金
『同級生2』より「水野友美」「篠原いずみ」「鳴沢唯」「長 岡芳樹」です。
「春の女神」「八十八学園の『春』」に続いて、私が教養をひけらかす、ペダントリーシリーズの第3作です。
知美「所長、とうとう開き直りましたね……」
800「知美に突っ込まれる前に、言ってやったのさ。題名の意味がわかる人は、たぶん10人に1人もいないだろ」
いずみ「自分で言ってりゃ世話はないよな。……私だってわからないけど」
唯「うーん、唯もわからない」
知美「だそうです。所長、説明して下さい」

題名の「ラインの黄金(Das Rheingold)」は、リヒャルト・ヴァーグナーの楽劇「ニーベルングの指環(Der Ring des Nibelungen)」の序夜(第1部)の題名です。
その基になった古代ゲルマンの伝説によると、ライン川の川底に黄金があり、3人の乙女によって護られています。
この黄金には、「黄金で作った指環を持つ者は世界を支配する力を得る。しかしそれは、愛を諦めた者に限られる」という伝承があります。
ニーベルング族──暗い地の底に住む侏儒族──の一人アルベーリヒが、その黄金を盗み、指環に作って世界を支配する力を得ようとしますが、指環は神々の王ヴォータンに奪われ、その時アルベーリヒがかけた呪いによって、指環を持つ者には次々に不幸がもたらされます。
指環をめぐって殺し合いを始めたファーゾルトとファーフナーの巨人族兄弟、養い子に殺されたアルベーリヒの弟ミーメ、ジークフリート、グンター、ハーゲン、最後にはヴォータンまで……。

800「だから場面としては、ラインの乙女たちに愛されようとして相手にされなかったアルベーリヒが、権力に目が眩んで黄金を盗み取ろうとするところだ」
唯「ふーん、そうなんだ。下の方にいる黒いのがその、アルベーリヒっていう……」
いずみ「愛を諦めた小人が芳 樹か。あははは、傑作傑作」
知美「所長はもう、長 岡君を愚弄し、嘲笑することに命を懸けてますね、本当に」
800「当然だ。誰が何と言おうと、私は奴を愚弄、嘲笑するために創作活動を行う。
 ただ今回は、今までにないほど徹底的に醜悪に描いてやったんだが、暗すぎてよくわからないな、これじゃあ」
知美「『闇夜のカラス』状態ですね」
800「まあそれも、奴にはふさわしいかもしれないがな、闇に呑まれるってのも」
知美「でも何だかんだと言って、何回も描いてますね、彼を」
800「なに、かまわないさ、描くことによって奴を貶めるのが私の目的なんだから」
××「くっくっくっ、きっついなあ……」

題材はこの通り、ついてこられる人がいるかどうか考えていない域まで走っていますが、CG制作のテクニックの面でも、グラデーション・ネガポジ反転・オーバーレイなど、Photoshop5.0LEの多彩な機能を使って新しい試みを行っています。
水面から射し込む光の表現は、紙に色鉛筆で塗る今までの手法では、まず実現不可能だったでしょう。
まだまだPhotoshopを使いこなしているとは言えませんが、多様な表現をどこまで自分の物にしていけるかは、これからです。

唯「唯だったら、世界を支配するよりも愛が欲しいな、お兄ちゃんの……」
いずみ「ちょっと待てよ唯っ、私だって竜之介の愛を諦めたわけじゃないからなっ」
知美「……2人とも、私を忘れてもらっちゃ困るわよ。竜之介君とは、私が一番長いんだから」
800「おいおい、黄金を護るラインの乙女たちが争ってどうするんだよ?」
知美「所長は引っ込んでて下さい!」
いずみ「そうだそうだ、これは私たちの問題なんだからっ!」
唯「ゆ、唯は負けないからね、いずみちゃんにも友美ちゃんにもっ!」
800「……これもアルベーリヒの呪いなのか?」
(2000.8.27)

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