「ToHeart」のヒロインの誕生日に合わせた連作の第３作です。
第１作「初めての友達」の姫川琴音（誕生日は１０月９日）、第２作「和解」の保科智子（９月１０日、ですから本当なら智子が第１作となるべきでした）に続くのは、１１月７日が誕生日である長岡志保です。
この秋、ToHeartキャラの誕生日に合わせた連作を思い立ってからというもの、何とかして志保を描いてやりたいと思っていました。それは私が今まで一度も志保を描いたことがなく、それも春先にToHeartにもとづいた連作を思いついた時には、神岸あかり・藤田浩之・佐藤雅史を描いた「思い出の小径」に続いて、５月の連休に合わせて「雅史・浩之・あかりの３人に加えて志保も描くつもりだ」などと吹聴しながら結局実現できず、そして８月に「平和を実現する人々」で宮内レミィを描いた時には、「アメリカ軍や自衛隊を取材している、レミィと知り合いのフリージャーナリスト」という役柄で登場させる、まさに千載一遇の機会を逸するという具合に、ずっと志保を描きそびれていたからです。
かねてから、志保を描くならゲーム本編に登場する学生時代の志保を描くよりも、むしろエンディングに登場する、世界を股にかけたフリージャーナリストになった志保を描きたいと考えていました。「平和を実現する人々」に登場させようと思ったのはその線上にあります。
しかし、国際的なニュースとして今いちばん旬なのは取りも直さずイラク戦争ですが、イラク戦争に題材を求めるとして、例えばどの国の軍隊を取材している志保を描くか、秋口から「下級生」キャラの誕生日連作を進め、平行してToHeartキャラの誕生日連作の構想を練っている間にも、いろいろな案が浮かんでなかなか構想がまとまりませんでした。 新潟県内でも私の住んでいる辺りは、幸いにして地震による被害は全くなく、地震当夜に「初めての友達」を完成してサイトに公開したくらいでしたが、震源地周辺の被災状況や、被災者の支援のために各地から自衛隊が派遣されていることをインターネットで知ったり、自宅の近くの幹線道路を陸上自衛隊の災害派遣車輛が走っているのを見たりするうちに、「新潟県中越地震の被災地で災害支援に当たっている陸上自衛隊を取材している志保」という、新潟県民にとっては ある意味でイラク戦争に優る千載一遇の題材が浮かびました。アメリカを本拠地として活動している志保から見れば、アメリカが当事者になっているイラク戦争よりも、欧米ではめったに発生しない震災の方がニュースバリューがあるかもしれない、と思ったからでもあります。
新潟県中越地震の被災地で行われている災害支援には、地震発生直後の人命救助活動から始まって、救援物資の輸送、避難所での給水・給食・医療・入浴支援などいろいろありますが、ToHeartあるいはその他のゲームの女性キャラを自衛隊員として登場させるとしたら、医師または看護師の資格を持つ衛生科の隊員として登場させるのがふさわしいと思ったので、まず「平和を実現する人々」に医官として登場させた友美を、今度も医官（一等陸尉）として中心に描き、次に同級生２のエンディングで看護師になる桜子を、看護師の資格を持つ衛生科員（二等陸曹）として描くことにしました。２人が巡回して医療支援を実施している避難所の、窓から外を見ると、左奥では野外炊具１号（炊事車）を使った給食支援（炊き出し）、右手前では給水車による給水支援が行われています。
アメリカにいて震災の発生を知り、被災地入りした志保は、被災地とこれらの災害支援の様子、中でも自衛隊員と罹災者の交流の様子を取材しているところです。
今回も例によって制作が遅れてしまいましたが、何とか１１月中に完成し公開できたので、ToHeartキャラの誕生日連作はこの作品で一時中断し、１２月に入って制作を開始する次回作は、クリスマスＣＧの予定です。 公開当初の題名は「平成１６年秋、新潟県中越地方」でしたが、題名は簡潔なほど良いと思ったので、「がんばろう中越」と改題しました。

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