『晴れの舞台』
晴れの舞台
『下級生』より「山下美夏」です。
「下級生」ヒロインキャラの誕生日に合わせた連作の第3作です。
下級生のヒロインキャラの誕生日は、9月28日の橘真由美、10月3日の山下美夏、10月20日の持田真歩子11月14日の新藤麗子12月1日の南里愛という具合に、秋から冬にかけて設定されているのが多いようです。それはこのゲームが、1年がかりでヒロインとの恋愛関係を醸成していくゲームであり、秋から冬にかけての季節が、主人公とヒロインの関係が同級生あるいは知り合いから恋人同士へと深まっていく季節に当たっているからで、その間にヒロインの誕生日という、ゲーム本編では一人のヒロインには二度と起こらないイベントを設けたことは、恋愛関係を醸成していく道のりに彩りを添える巧みな演出と言えると思います。
この作品は、9月に入って真由美の誕生日に合わせた前作の制作を思い立ったのと同時に、すぐ後に続く美夏の誕生日に合わせて制作することを思いついたものです。題材もすぐに決まりましたが、それも前作と同じような発想に基づいています。

美夏というキャラは、音楽大学でピアノを専攻している良家の令嬢という表向きの顔とは裏腹に、学資を稼ぐために始めた風俗のアルバイトですっかり身も心も持ち崩しているという裏の顔を持ち、しかも風俗のアルバイトのことを主人公に隠し通そうとしているのが早いうちから綻びてくるだけでなく、後半になると裏の顔に触れた主人公の出方一つで、美夏が逆ギレして主人公との関係が破局を迎えるという場面がいくつもあるのが災いしてか、下級生のヒロインの中でも人気の低いキャラで、私がチャットルームで話したことのある人の中にも、はっきり「美夏は嫌い」と公言して憚らなかった人もいます。
しかし、淪落した今の姿が悪しきアンチヒロインと呼ばれても仕方のない姿であるとしても、かつてはピアノを修めるというはっきりとした志を持っていた時があったはずです。その志を実現した姿は容易に想像できますし、そして美夏の絵を描く人があまりいなさそうであればなおさら、志を実現した麗しい姿を、美夏の名誉挽回のために、私が描こうと思ったのです。

すでに書いたように、これから冬にかけて下級生のヒロインたちの誕生日が続きますが、私としては下級生ヒロインの誕生日連作は、この第3作で一区切りとするつもりです。
(2004.10.17)

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