これは「秋四景」の旧版です。
８００「これはもともと、スキャンし直す必要をそれほど感じなかったものだ」
知美「確かに色調は、『高原の夏・友美』や『秋の夜長によせて』の旧版ほどひどくないですね。全体的にピンボケなのは、『シャープ』で補正することを知らなかったからだと思いますけど」
８００「いちいち言うことにトゲがあるな、知美は……」

知美「所長が、もう一度、今度は原画段階から作り直したいと言い出す場合に備えて、みんなの意見を聞いておきたいんだけど、いいかしら？」
８００「また私の許可なしに、そういうことを始める……」
美沙「そうねえ……右手と左手の、親指の向きが逆なんだけど」
８００「突っ込まれると思った。でもオリンピックなんかで、ゴールインした瞬間の写真を見ると、右手と左手は対称になっているとは限らないんじゃないか？」
美沙「それと、役員や他の選手をちゃんと描いてほしい。フィールドに役員も選手もいないのに、大会で優勝した場面と言われても、納得できないわ」
８００「難しい要求だなあ」
美沙「『同級生』で一番人気の私の、一番私らしい場面を描くっていうんだから、それくらいちゃんと描いてもらわないと」
知美「田中さん、所長は、競技の開催されていない無人の競技場の写真を撮ってきて、それを見て描いたのよ」
８００「さあ、次行こう、次！」

知美「右上のこれは、それほど問題はないですね」
８００「そりゃあもちろん、友美を描いたんだからな」
知美「強いてアラを探すと、実物を見ないで描いたコスモスの一輪挿しですか。それから机の上の写真も、もっとはっきり見えるように描き込んでほしかったですね」
８００「…………強いて探すな、アラを。写真は、原画ではもっとはっきり描いたんだが、JPEG形式に変換する時、圧縮率を上げすぎたようだ」
知美「難しい話はおいといて、せっかくの所長のこだわりが、お客様に通じなかったでしょうね」
８００「うん。『高原の夏・友美』に描いた犬のチャームと、一緒に撮った写真、というつもりで描いたんだが、犬に見えなかったな」
知美「所長、次行きましょう、次」

桜子「８００さん、やっぱり、オルゴールが大きすぎると思うわ」
８００「だけどねえ、普通のペンダントくらいの大きさのオルゴールをこの絵に描いたら、予備知識のない人にはわからないよ、それがオルゴールだとは」
桜子「でも……私がオルゴールを持っていることは、このサイトに来てこの絵を見て下さる人は、誰でも知っていると思うけど」
８００「それはちょっと自意識過剰じゃないか？　桜子が人気があるのは事実だけど」
桜子「え？」
８００「何でもない」
桜子「あと、髪の毛とか、腕の長さとか……」
８００「もっとデッサンをしっかりしないといけないってことか。道は長いな」
桜子「頑張って。８００さんなら、きっとできると思う」
８００「はぁ……一度ぐらい、うちのアシスタントにそう言ってもらいたいよ」
知美「……しょ・ちょ・う、つ・ぎ・へ・い・き・ま・しょ・う！（-_-^メ）」

知美「篠原さんには、何も聞く必要はなさそうね」
いずみ「あったりまえだよっ！　花も恥じらう乙女を捕まえて、言うに事欠いて食欲の秋だなんて、人を侮辱するにもほどがあるよっ！」
８００「たはは……。そういう根源的な点以外には、何かないかなあ」
いずみ「…………」（むすっ）
知美「杉本さんもそうでしたけど、腕の長さがちょっとおかしいですね」
８００「そのへんなら、直せないでもないな」

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