ソルトレイクシティ訪問記 |
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アメリカのスーパーマーケット〜食料品売場 |
この店は本社がオレゴン州にあり、西海岸に展開しているチェーン店のようです。2階建てで1階が食料品売場、2階がホームセンターなので、まず食料品売場です。時は晩秋、ワシントン州あたりで穫れたリンゴが出回る時期で、リンゴが8品種並んでいました。ユタ州ではたぶんリンゴは栽培できず、ワシントン州からユタ州まで運ぶというと青森県から九州まで運ぶくらいの距離があるのにこれです。アメリカのスーパーは品揃えが乏しいという風説は一蹴されました(1)。日本から持ち込まれたFuji、日本でもおなじみのJonagold、その他にBraeburn, Gala, Golden Delicious, Granny Smith, Red Delicious, Romeとあり、GalaとRomeは2,3年前に日本への輸出が解禁された品種なので、たぶん実物を見たことはないと思いますが、もしかすると名前を聞いたことがある人がいるかもしれません(2)。Granny Smithはイギリスで200年以上前から栽培されているという青リンゴで、シドニーで食べたリンゴはこれだったかもしれません。こちらのリンゴは日本のリンゴに比べて小さく、中では大きいFujiとRomeでも1個0.5ポンド(227g)ぐらいで、他はもう一回り小さいです。さて値段はというと1ポンドで、一番高いFujiが1.39ドル、これだけ別の台に積んで大売り出し中のJonagoldが99セント、特売品のDelicious2品種は37セントでした。1ドル108円とすると、1個75円(0.5ポンドの ふじ)から16円(0.4ポンドのデリシャス)になります(3)。 次に野菜売り場へ行くと、最近のアメリカの健康志向を反映して、Organicと銘打った野菜のコーナーがあります。自分は日本での野菜の相場をよく知らないのですが、こちらでの値段はこんな具合です。(単位ドル、1個と書いてないのは1ポンドあたりです)(4) |
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こうしてみると、セロリを別にすれば、Organicはそうでない物より2割高から倍額ということになりますが、それでもOrganicが売られているということは、買う客がいるということです。それともう一つ重要なことは、同じ店の隣の売り場に、Organicでないものを売っているということです。日本のスーパーだと、「有機栽培」を目玉にした野菜を扱い始めた時点で、同じ品目で有機栽培でない野菜は、そのチェーン全店から姿を消すでしょう。しかしそれが、結果として消費者の選択の幅を狭めているということに、どれだけの人が気づいているでしょうか。Organicでない野菜、化学農薬を使って栽培された野菜であることを承知した上で、「残留農薬があってもかまわないから安い物を買いたい」というのも、立派な消費者ニーズです。判断基準を明示して選択肢を用意し、選択は消費者に任せるのが、アメリカ流自己責任の原則なのだろうと思いました。そのもっと端的な例を、また後で書きます。
さて最後に挙げた大豆ですが、最近アメリカで作付けが急速に広まり、その表示義務づけをめぐってアメリカとEUが対立している遺伝子組み換え作物のうち、人間の口に最も近いところにあるのが大豆です。自分も、この事にはそれなりの問題意識は持っているつもりだったので、ここで売られている大豆とその加工品について、遺伝子組み換えについての表示があるかどうかを見てみました。しかし丸のままの豆にも、その加工品(見つかったのはSoybean proteinとTofu)にも、遺伝子組み換え作物を原料として使っているともいないとも表示してありませんでした。連邦農務省の規程では遺伝子組み換え作物を原料として使っているかいないかの表示義務はありませんから、この事自体は違法でも何でもありません。ただ、将来的には消費者から、遺伝子組み換え作物を原料として使っているかいないかの表示を求める気運が起こってくるだろうと思います。そうなった時、「高いが農薬を全く使っていないOrganic」「最も安くて農薬を減らした遺伝子組み換え農産物」「Organicより安いが農薬を多用した、どちらでもない農産物」が並べて売られるのが、上の段落に書いたアメリカ流自己責任の原則から言って、最もあるべき姿だと思います。科学的判断を容れようとせず、遺伝子組み換え農産物を情緒的に排斥した日本の大衆と、それに迎合した日本の流通・小売業者の轍をアメリカ市民には踏んでほしくないと、科学に少しは関心を持つ者として思います。 と少し硬すぎる事を書いたので柔らかい事を一つ。日本人の好物Tofuがこちらでも売られていて、SilkenとFirmの2種類があります。それぞれが何かは、おわかりでしょう。1パック1ポンドで、1.69ドルでした。アメリカ人が豆腐をどう料理して食べているのかは興味がありますが、ジャパニーズレストランを最後まで忌避していたのでわかりませんでした(5)。 海から遠く離れたユタ州では、畜産物は地元で生産できますが、海産物は全て遠くから運ばなければなりません。そのため海産物は畜産物に比べると割高です。というより、畜産物が日本に比べて格段に安いのです。見て回った範囲で最も高いのは、牛ヒレ肉が1ポンド6.99ドル(100g166円)、Shrimp(頭を取ってゆでてあるエビ)が1ポンド13.99ドル(100g333円)、殻付きのタラバガニ(King Crub)の脚が1ポンド12.99ドル(100g309円)といったところです。職場の近くのスーパーで売っている牛肉は、和牛ロースが100g580〜780円、アメリカ産のサーロインが100g398円、ただし後者は一年中特売なので実勢価格は100g260円くらい。それを賞味期限当日、半額になっているのを見つけて買い溜めし、冷凍しておいて休日に1パック一気食いするのが自分流の肉食です。30歳にもなって「質より量」を地で行っているような輩に、霜降り肉は無用です(6)。 閑話休題。日本ではリンゴが出回る季節になると鮭が出回りますが(最近は一年中売っていますが)、アメリカでもSalmonの季節で、ワシントン州かアラスカで獲れたSalmonを一尾丸ごと、氷詰めにして売っていました。これは正確な値段が手元の記録にないのですが、1ポンド5〜6ドルだったと思います。値段は日本とあまり変わらないかもしれませんが、これを一尾丸ごと買っていって自宅で身下ろしする人が、アメリカにもまだ少なからずいるということは、アメリカの家庭の台所には電子レンジと果物ナイフしかないという俗信を退けるに十分だと思います。 畜産物に戻って、牛肉とくれば牛乳です。アメリカは全体的に、日本に比べて販売単位が大きく、牛乳とジュースは、一番小さいパックは1パイント(473cc)からありますが、普通は小さいパックが2クォート(1.89リットル)で、その上に3クォートと1ガロン(1ガロンは4クォート、3.78リットル)があります。このクラスの容器は、ジュースの2クォートだけは日本風の紙パックですが、その他は洗剤の徳用瓶か非常用飲用水のポリタンクを連想させるような取っ手付きのプラスチックのパックで、アメリカに来て初めてこれを見た時、この世ならざる物を見たような気がしたと、アメリカに留学していた人が言ったことがあります。中身が2升入っている紙パックを片手で持ってコップに注げるか、と考えれば、1ガロンのパックが取っ手付きのポリタンクになるのは自然の成り行きだと思いましたが、アイスクリームが1ガロン入りの金属バケツで売られているのを見た時は、これは日本と違う世界の物を見た、と自分も感じました。さて、1ガロンのパックで牛乳を買ってきて、水代わりに飲んだらどうなるか、というのはすぐ想像がつくことです。それが次の話につながります。 少なくともこのスーパーでは、日本で言うところの成分無調整牛乳は売っていません。売っていたのは4種類、2%Reduced Fat, 1%Reduced Fat, No Fat, VitaminA Enrichedでした。つまりビタミン強化牛乳か、でなければ脱脂乳しか売っていないということです。終戦直後の脱脂粉乳がどんな味だったのか、今となっては自分には知る由もありませんが、日本ではまだ「脂肪が多い牛乳ほどおいしくて栄養価も高い」という認識があるような気がします。今日本で市販されている成分無調整牛乳の乳脂肪率(3.5%)は、20年前に学校給食で飲んだ牛乳(3.2%)より上がっていますし、バターや何かを加えて4.3%にまで上げた牛乳(正確には「加工乳」)も日本では見かけます。乳脂肪率の高い牛乳ほど栄養価が高いのは事実ですが、それは国民全体のカロリー摂取量が理想より少なく、牛乳の消費量も少なかった時代の話で、今のアメリカのようにカロリー摂りすぎ、特に動物性脂肪の摂りすぎによる生活習慣病が社会問題になるような国では、また事情が変わってくるでしょう。実は自分も、日頃スーパーで買って飲んでいるのは成分無調整ではなく、低脂肪乳かビタミン強化牛乳です。ただそれは、低脂肪乳の方が成分無調整より安いから、というのが最大の理由だったりするのですが・・・。 今まで動物性脂肪を摂りすぎる食生活を続けてきて、その結果肥満や生活習慣病の増加が社会問題になっているアメリカでは、動物性脂肪をとにかく避けようという風潮があるようです。スーパーで売っているハムやソーセージを見ると、97%Fat freeと書いてあるのがあって、これはつまり従来製品より動物性脂肪が97%少ないという意味でしょう。何だか味気なさそうな気がします。それより、Fat freeのチーズというのがあって、脱脂乳で作っているのか、脱脂乳で本来のチーズの味を出すのが無理ならば植物油を加えて作ってあるのかはわかりませんが、そこまでしなくても、という気がしました。 牛乳と同じようにポリタンクで売っているオレンジジュースには、日本でも売っているTropicanaの他にMinuteMaid(最近は日本でも見かけるようになりました)とFred Meyerの自社ブランドがあって、3クォートで2.99ドルから4.48ドル(1リットル114円から171円)と、やはり日本より安いです(どれも100%、TropicanaはNot from concentrated、つまり濃縮果汁還元でないのを売り物にしています(7))。面白いのは、どの銘柄にもPulp free, Low pulp, Medium pulp, High pulp(呼び方は銘柄によって違い、Medium pulpはCountry style, High PulpはHome squeezed styleと呼んでいる銘柄もあります)が揃っていることです。オーストラリアで飲んだオレンジジュースが、皮ごとすりつぶしたのかと思ったほどドロッとしていたのを思い出して、ものは試しとHigh pulpを買って飲んでみると、やはりこれも皮ごとすりつぶしたようなジュースでした。また変な事を書きますが、肉食主体で食物繊維をあまり摂っていなさそうな欧米人は、こうやってオレンジジュースから食物繊維を摂ることで通じを保っているのではないかと、オーストラリアへ行った時から思っていました。ところがそのHigh pulpのオレンジジュースのパックに印刷してある成分表を見ると、240ml中27g含まれているCarbohydratesのうち24gがSugarで、Not a significant source of dietary fiber、つまりオレンジジュースは食物繊維源にはならないと書いてあります。そうするとアメリカ人の食物繊維源は、肉料理に必ず付いてくる山盛りのポテトなのでしょうか。 アメリカで売っている食品には、例外なく成分表が付いています。日本だと食品の種類にかかわりなく100gあたりの成分が書いてありますが、アメリカでは食品ごとにServing Sizeを決めてあって、ハンバーガーなどでは1個、菓子やチーズだと1オンス(28g)、飲み物は240ml(半パイント)につき、全カロリー、脂肪由来のカロリー、全脂肪、飽和脂肪、コレステロール、ナトリウム、全炭水化物、食物繊維、糖分、タンパク質、ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、鉄の順に、摂れる量と一日の基準摂取量に対する比率が書いてあります。これを見ても、足りなくて積極的に摂りたい成分より摂りすぎを避けたい成分の方が上に書いてあって、今のアメリカの社会が、「健康増進のために食べる」段階を過ぎて、「健康維持のために食べない」段階に達しているのが感じられます。動物性脂肪の塊のようなチーズは、1オンスで飽和脂肪を一日の基準摂取量(20g以下)の30%摂ってしまうということなので、そう考えるとFat free植物性チーズの存在理由もわかります。何でも販売単位の大きいアメリカでは、チーズも最小が半ポンドです。それから、ヤードポンド法を使っているアメリカでも、成分表の単位はグラムとミリグラムです。 さて、ジュースや牛乳の容器は1リットルの紙パックが最大の日本で、清酒は一升瓶、ビールは3リットルのアルミ缶で売っているとすると、ジュースや牛乳が1ガロンのポリタンクで売られているアメリカで、酒類の容器がどのくらいの大きさになるか、興味と不安に駆られつつ酒類売り場へ行ってみると、これが意外にも日本と正反対で、このスーパーにはBudweizerの1クォート缶の他には、12fl.oz(355ml)の小瓶しかありませんでした。ただ、この点に関してだけは、ここがユタ州であるということを念頭に置く必要が大いにあって、アメリカ全土がこうであるとはきっと限らないと思います。ビールの値段は日本よりずっと安く、1クォートの缶が1ドル強、小瓶は6本で3〜4ドルでした。スーパーに入る前に通りかかったコンビニ(Seven Eleven。こっちが発祥の地だったでしょうか)では、酒類と煙草を買うには21歳以上になっていることを証明できる物の提示が必要、と掲示がありましたが、スーパーでもレジでチェックしているのでしょう。 普通の日本人なら真っ先にこれを探し求めるかもしれない米も売っていました。ただし主食として毎日大量に食べる食品とはされていないようで、量り売りと包装して売っているのがありますが、包装してあるのは2ポンドのポリ袋または10ポンドの紙箱でした。日本だと、都会でも10kgのポリ袋が普通で、新潟県内のディスカウントショップでは農協への出荷に使う30kgの紙袋で売っていることもあるので、ここに食文化の違いが現れています。そもそもこの店では、包装した米は豆と同じ棚に並んでいます。ここで売っている米は、大きく分けてlong grainとmedium grainの2種類です。long grainはアメリカ南部、ミシシッピ州やアーカンソー州で17世紀から栽培されている米で、移入された道筋をたどっていくと、スペインからイタリアを経てインドに源を持つ、すなわちインディカ米です。medium grainはカリフォルニア州で栽培されている米で、19世紀後半になって日本から移入されたジャポニカ米です。ただ、日本で栽培されているような典型的なジャポニカ米は、国際的にはshort grainと呼ばれていますが、これはアメリカではほとんど栽培されておらず、この店にも売っていませんでした。全世界で生産される米はインディカ米の方がジャポニカ米より多いのですが、アメリカに限ってみてもlong grainが7割でmedium grainが3割という比率で、店の売り場を見てもlong grainの方がmedium grainより品揃えが豊富です。long grainの紙箱には、料理した米をフォークですくっている写真が印刷してありました。long grainは粘りがなくて箸にかからないので、料理法も食べ方も日本とは違ったものになるのです。日本ではどこにも売っていないので食べたくても食べられないlong grain(毎年何十万トンも輸入されているはずの外米は、いったいどこへ消えているのでしょう?)を、アメリカへ来たからにはぜひとも食べてみたい、それもジャパニーズレストランで、変にアメリカナイズされた日本食、それに全く向かないのに無理矢理使われたlong grainを食べるのではなくて(もしlong grainで寿司を握ろうとしたら、1つずつラップに包まなければなりません。ラップに包んだ寿司をカウンターで出されて、食べたいと思いますか?)、long grainならではの料理を味わってみたいと切に願いました。たとえば、大きな鍋にたっぷりの湯で米をゆでて、ざるに空けて湯を切り、刻んだ野菜やハムと和えて、ドレッシングをかけて食べる、サラダの材料の一つとして。あるいはベーコンや玉ねぎのみじん切りと一緒にオリーブ油で炒めて、コンソメスープを入れて煮る、あくまでスープであって雑炊ではないので、粘りが出てはいけない──こういう料理法はlong grainならではのもので、日本の米ではできません。日本食がブームになっているアメリカで、「日本食に調理していない米」を食べるというのは案外難しくて、結局今回の旅行では、long grainのサラダやスープを食べる機会には恵まれませんでした。この事だけは、返す返すも残念です。 米の値段は、アメリカ産の量り売りのは1ポンド0.79ドルで、10kg1879円に相当します。日本の標準価格米の半値というところで、これなら日本向けに輸出しようと意気込むのもわかりますが、見方を変えると小麦粉の2倍です。日本での精白米と小麦粉の値段は比べてみたことがありませんが、アメリカ式の大規模農業でも、やはり米は小麦より手間暇がかかっているのでしょう(8)。アメリカ産と書いたのは、インド産のBasmatiという米が輸入されているからで、これは1ポンド1.29ドルします。他のインディカ米を料理する時に少し加えると独特の香りが出るという米で、原産地のインドからパキスタンにかけての地方では珍重されているそうです。その辺りから移住してきた人たちにとっては、郷愁を呼び覚ます米なのでしょう。これは日本には輸入されている様子がなく、日本で買って食べるのは非常に難しいと思います。それから、これは正確に言うと米ではないのですが、Wildriceというものがありました。五大湖周辺の湿地帯に生えている野草の実で、ヨーロッパから稲作がもたらされるよりずっと昔から、先住民の食物とされていたものです。野趣あふれる食材として人気があるようですが、今でも栽培化されていず、野生のを集めるしかないので生産量が限られていて、1ポンド5.99ドルもします(9)。 自分はアメリカにいる間、似非日本食は食べたくないという信念を持ち続けていましたが、市民生活を映し出すスーパーのリサーチは別です。Asianという棚を見ると、アメリカで広まっている日本食ブームに合わせて、各種の日本風調味料や日本風食材がありました。日記帳によると、KikkomanとYamasaのSoy sauceがあったと書いてあります。商標も日本で売っているのと同じです。日本風調味料を代表するような醤油も、日本の銘柄だけではなく、中国産と思われる銘柄もありました。中華風食材の缶詰で、どう見ても日本産ではなくて中国産なのに、何を思ったのか「Geisha」という銘柄があって、いかにもそれらしい絵が印刷してあるのには、何だかなぁと思ってしまいました。 アメリカ流自己責任の例です。ホテルのルームサービスで、毎日インスタントコーヒーが補充されているのですが、コーヒーにはクリームと砂糖と甘味料がついてきます。クリームといっても本物ではなくて、植物性原料から作った物です。砂糖はいうまでもなく本物の砂糖ですが、甘味料はブドウ糖にサッカリンを加えた物で、こう書いてあります。
「USE OF THIS PRODUCT MAY BE HAZARDOUS TO YOUR HEALTH. THIS PRODUCT CONTAINS SACCHARIN, WHICH HAS BEEN DETERMINED TO CAUSE CANCER IN LABORATORY ANIMALS.」 |
この日の買い物 | アメリカの緑茶 | 別の日の朝食 | サッカリン入りの甘味料 |
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脚注 | ||||||||||||||||||||
(1) | この旅行記よりさらに古い話になりますが、1992年にコネティカット州から来た教育視察団の人が実家にホームステイした時、近所のスーパーマーケットを見せたら「日本のスーパーはアメリカより品揃えが豊富だ」と感心していたことを念頭に置いています。しかしウェブサイトでの公開に先立って2月末に、新潟市周辺にチェーンを持っているスーパーマーケット2店と八百屋1店で農産物の店頭価格調査を行いましたが、リンゴを8品種売っていた店はありませんでした。旬が過ぎているせいもあると思いますが、どこにでもあったのは ふじ・ジョナゴールド・王林の3品種、店によって世界一・むつ・太陽金星を置いていたくらいです。[戻る] | |||||||||||||||||||
(2) | リンゴを始めとする農産物については知識が不確かだったので、ウェブサイトでの公開に先立って農林水産省のホームページで情報収集を行いました。それによると ・1999年度ワシントン州で最も生産量の多かった品種はレッドデリシャスでしたが、値下がりして採算が合わなくなったために生産量は減ってきていて、昨年比15%減産です。ふじもこの年度に限っては13%減産(全米ではここ数年増産が続いてきました)なのに対して、ガラは20%増産されました。ガラは高値で取り引きされていますが、それでも出荷価格は1箱(42ポンド=19kg)20ドル弱です。 ・ワシントン州から日本へのリンゴの輸出は1997,98年には行われませんでした。1999年7月に ふじ、ガラ、グラニー・スミス、ブレーバーン、ジョナゴールドの5品種の輸出が解禁されて「今後輸出量は増加していくことが期待され」たようですが、その後どうなったのでしょうか、2001年から2002年にかけての冬、私はスーパーでアメリカ産のリンゴを一度も目にしませんでした。アメリカからアジア向けのリンゴの、最大の輸出先は台湾のようです。 ロームという品種は1999年7月以前から対日輸出が解禁されていたと思ったのですが、この資料には載っていませんでした。もしかするとワシントン州ではあまり生産されていない品種なのかもしれません。[戻る] | |||||||||||||||||||
(3) | ここから先の、いろいろな食品の値段は、2月末に新潟市近郊のスーパー2店で実施した価格調査の結果です。 日本でのリンゴの価格は、ふじが6個480円から2個398円、ジョナゴールドが6個398円から2個398円、王林が6個398円から1個128円、世界一が1個298円、むつが1個198円、太陽金星が6個398円でした。もちろん世界一は他の品種よりずっと大きいですし、全体的に日本のリンゴはアメリカのリンゴより大きいですから、1個あたりの値段を比較して即断はできません。それに調査した季節の、11月初頭と2月末という違いは、リンゴの値段には重大な影響があるでしょうから、この調査結果はあまり参考になりません。 3月に入ってから八百屋で買ってみた ふじは、小玉でしたが1個250gありました。これがスーパーでは1個80円で売っていると仮定し、為替レートは当時と同じ1ドル108円だとすると、このリンゴの単価は1ポンド1.35ドルに相当します。[戻る]
(最後の段落は2002.3.13補足) | |||||||||||||||||||
(4) | 野菜に関しては八百屋のほうが明らかに安いのですが、公平な比較のために八百屋での価格は除外しています。 | |||||||||||||||||||
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(ここから2002.3.13補足)
リンゴと同じように、3月に入ってから八百屋で買ってみたブロッコリーは、1個370gでした。これが1個100円で売っていると仮定すると、1ポンド1.14ドルに相当します。また、八百屋で買ったズッキーニは1本110g、レタスは1個340gでした。単価を比較しやすいように、日本で重量あたりの単価がわかった商品について、1ドル108円として1ポンドあたりの単価を算出してみると、このようになります。(単位ドル)[戻る] | ||||||||||||||||||||
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(ここまで) | ||||||||||||||||||||
(5) | アメリカの豆腐についても農林水産省に資料がありました。 健康ブームに乗って豆腐の消費量は年平均20%増と好調ですが、味が淡泊で歯応えのない食品はアメリカ人の好みに合わないらしく、冷や奴のような食べ方はほとんど行われていないようです。野菜炒めに豆腐を入れてテリヤキ味に味つけするのが最も一般的な食べ方で、シェイク、ゆで卵の代替え、プディングといった食べ方もあるそうです。 (資料:農林水産省海外農業情報 豆腐の消費事情)
日本での豆腐の価格は300g38円から260g218円まで、平均的なところが400g98円で、さすがにこれはアメリカ(1ドル108円として400gあたり160円)よりは安かったです。アメリカでの豆腐の料理法について、もっと詳しいことを知りたい方は、上の資料からもリンクされているMori-Nu社のホームページ(英語)をご覧ください。上のほうの段落で書いたOrganic農産物と遺伝子組み換え農産物についてですが、Mori-Nu社の製品は、原料をOrganicに限定したものとそうでないものの両方があります。値段に差があるのかどうかは、ホームページでは調査できませんでした。しかし遺伝子組み換えについては、全製品がNON-GMOであることを強調しています。[戻る] | |||||||||||||||||||
(6) | 牛海綿状脳症が日本で発生してからというもの、牛肉の売れ行きがすっかり落ち込んで、さしもの国産牛も値崩れしているようです。100gあたりの牛肉の値段は、和牛サーロインが580〜880円、モモ肉が168〜448円、ロースが298円、バラ肉が148〜398円、スジ肉が80円。それに対してアメリカ牛の肩ロースが138〜198円、オーストラリア牛の肩ロースが148〜198円、バラ肉が178円でした。国産牛の値段の、高いほうは産地を限定した銘柄牛なので、安いほうは輸入牛と大差なくなってきていますが、新潟県内で飼われていた牛の肉と太平洋を渡ってきた牛の肉の値段が同じだとしたら、アメリカでアメリカ牛のいちばん安い肉はきっと1ポンド1ドルで買えるでしょうから、やはり日本の牛肉は高いです。 鮭は、切り身が100gあたり98〜198円、半身(約1.2kg)が1580円でした。その半身が特売で580円だったからといって、独り暮らしなのに後先考えずに買ってくると、冷凍庫が鮭の切り身で一杯になり、今後しばらくは鮭以外の魚が食べられないという事態に直面します。 他の海産物は、むきエビが340g598円、殻付きのタラバガニが350g780〜980円、同じくズワイガニが500g980〜1280円でした。こんな物まで日本のほうが高かったら、ちょっと悲しくなります。[戻る] | |||||||||||||||||||
(7) | アメリカで牛乳の値段を調べ忘れたのは痛恨の極みです。日本での値段は1リットルで、成分無調整牛乳が178〜278円、1.5%くらいの脱脂乳とビタミン強化乳が148〜198円、0.1%脱脂乳が138円でした。果汁100%のオレンジジュースについては1リットルで、Tropicanaが198〜258円、MinuteMaidが238円、Doleが248円に対して国産の自社ブランドは148〜158円と健闘していますが、近くの輸入食料品店ではDon Simon(スペイン)が1リットル100円で売っているので、どうしてもそれを買ってしまいます。[戻る] | |||||||||||||||||||
(8) | 日本で売っている米の値段こそピンキリの最たる物で、5kgで1490円(私がいつも買っている備蓄米)から1690円(標準価格米)〜1980円(こしいぶき という新潟県の新品種)〜2280円(魚沼以外の新潟産コシヒカリ)〜3200円(魚沼コシヒカリ)まであります。いちばん安い備蓄米でも1kg298円に相当しますから、日本でも米は小麦粉より高いです。[戻る] | |||||||||||||||||||
(9) | ワイルドライスというのはアメリカマコモ(Zizania palustrisあるいはZizania aquatica)の実です。日本でも昔は、マコモの実を食用にしていました。ワイルドライスに相当すると言えるかどうかわかりませんが、紫色をした古代米を300g780円で売っているスーパーがありました。 それからまたまた農林水産省の資料ですが、最近はカリフォルニア州でワイルドライスの商業的栽培が広まっているようです。[戻る] | |||||||||||||||||||
(2002.3.6) |
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