三年後:
有友「そして、これが一番大事なことなんだが、唯さんは・・・」
 「もうすぐ、静乃の姉になる人だ」

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『同級生2』より「鳴沢唯」「西御寺有友」「水野友美」、同PlayStation版より「西御寺静乃」です。
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三 年 後
語り:水野友美

「・・・うん、上手にまとめてあるわ。字数もぴったりだし。この調子よ。
 静乃さんには文章のセンスがあるわ。受験勉強だけで終わらせるのはもったいないぐらいよ」
「そ、そうですか? 嬉しいです、水野先生に褒めてもらえるなんて・・・」
「ふふっ。それじゃあ、古文はここまでにして、お茶の後は英語にしましょう」
「はい、先生」

私は去年の夏から、西御寺静乃さんの家庭教師を務めている。
それまでは、八十八学園で1学年上だった瀬潟三四郎先輩が務めていたけれど、先輩は
大学4年になり、卒業研究が忙しくなって、静乃さんの家庭教師を続けられなくなってしまった。
それで、静乃さんのお父さんに頼まれた先輩がお父さんに紹介したのが、私、水野友美。
その時居合わせた有友君がお父さんに言った言葉は、今も忘れられない。
「水野さんなら、静乃を帝女大に合格させられますよ。僕が保証します」

静乃さんは、私が何を教えても飲み込みが早いし、物覚えもいい。
有友君は理系、静乃さんは文系という差はあるけれど、頭の良さは兄さんに引けを取らないと思う。
私がわざわざ家庭教師をしなくても、十分帝女大に合格できるんじゃないだろうか。
最近は、勉強を教えるよりも、静乃さんのいろいろな相談に乗ることの方が多い。
人生のこと、進路のこと、友人のこと、恋愛のこと・・・。
もしかすると有友君は、静乃さんに大学受験のための勉強を教えてほしいというよりも、
静乃さんの相談相手になってほしくて、私を推薦したのかもしれない。
静乃さんは、瀬潟先輩や有友君には相談しにくいことを抱えていそうな年頃だから。

ふと思い出す、3年前の冬のことを。
あの時、私のそばに、両親にも龍之介君にも相談できないことを相談できる人がいたら、
私の人生は、変わっていたかもしれない。
あの冬を最後に、龍之介君とは別れた。
長 岡君とのつき合いは、長くは続かなかった。
長 岡君は、私が大学1年のうちに、行方がわからなくなってしまったから。

コンコン
お茶を持ってきたメイドさんが退ったと思うと、ドアをノックする音がした。
「友美さん、静乃、入っていいかい」
有友君の声だ。
「はい、兄さん」
ドアが開いた。
「静乃に紹介したい人に、来てもらった」
有友君に続いて、もう一人、女の人が入ってきた。
その人は・・・。

「初めまして、静乃さん。鳴沢唯です」
真新しいスーツに身を包んだ唯ちゃんは、見違えるほど大人びていた。
それでも、シニョンに結った髪と、髪に結んだ赤と黄色のチェックのリボンは、高校時代のまま。
有友君が静乃さんに、唯ちゃんのことを説明する。
八十八学園最後の年に、有友君と私の同級生だったこと、この春如月看護短大を卒業すること、
看護婦の免許を取ったこと、西御寺財閥系列の総合病院に就職が決まったこと。

「そして、これが一番大事なことなんだが、唯さんは・・・」
有友君が言葉を継ぐと、唯ちゃんの顔が急に赤くなったように見えた。

「もうすぐ、静乃の姉になる人だ」
唯ちゃんは恥ずかしそうに顔を伏せる。
でもその顔は、私が唯ちゃんを知っている13年間で、一番幸せな顔だった。

唯ちゃん、幸せになってね、有友君と。

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西御寺萌えサイトにして同級生2キャラファンサイトの巨星、「桂芳恵精神病棟」への寄贈CGです。
もともとは何かの記念ということではなく、2月か3月頃にふさわしい季節物CGとして、99年の秋頃から計画していましたが、2000年3月に桂芳恵精神病棟が30,000カウントを達成したので、題名もそれに引っかけて、30,000カウント記念CGとして制作、寄贈しました。
時はゲーム本編から3年後。友美と有友は大学3年生、唯は看護短大3年生すなわち卒業直前、PlayStation版オリジナルキャラである静乃は高校3年生すなわち大学受験ラストスパートです。
友美の語りに登場する「瀬潟三四郎先輩」とは、MS-DOS版のスペシャルディスクおよびWindows版に収録されたミニゲーム「卒業生」の主役で、友美たちの1学年上という設定になっています。ただし、苗字は本来のゲームでは設定されていず、私が思いついた駄洒落です(^^;。

有友「いやぁ、800君、よく描いてくれた。僕と唯さんが結ばれることを支持してくれる人が、うちの院長以外にもいたとは、正直言って予想外だったよ。この西御寺有友、心から礼を言わせてもらう」
800「いやいや、そこまで言われると痛み入る。ゲーム本編でもOAVでも二次創作でも、いつもいつも有友があまりにも報われなさすぎることに義憤を覚えて、いつか真に愛する人と巡り会って幸せになってほしいと、常々思っていたんだ」
静乃「800さん……ううっ、そこまで兄を……ありがとうございます、本当にありがとうございますっ」
800「静乃との約束が果たせて、私もほっとしているよ」
唯「唯、お兄ちゃんとは結ばれないんだね」
有友「ゆ、唯さん、今さら何を言うんですかぁっ!? よりによってあのアホのことを口に出すなんて!」
唯「心配しないで、西御寺君。唯にはわかってるんだ。
 西御寺君は、お兄ちゃんみたいに他の女の子に目を向けないで、唯のことだけを見つめていてくれたことが。
 唯のことだけを、心の底から、誰よりも好きになってくれたことが」
有友「唯さん……(そんな風に言われると、加藤さんにあんなに辛く当たったことが、もっと悔やまれてしまう……)」
唯「だから800さん、唯は、お兄ちゃんと結ばれなくても、そのことに何の心残りもないよ。
 もし唯萌えの人が文句を言ってきたら、これは唯が自分で選んだ道で、自分が納得してるんだから、誰にも文句は言わせないって、胸を張って答えてね」
800「唯、気遣いは要らないよ。私が描いたCGを見て、唯と有友が結ばれることに文句を言うほど狭量な輩には、インターネットに足を踏み入れる資格はない。そうやって自らの度量の狭さを暴露するような、愚かな輩のことを気にして、自分を卑しめはしないさ」
知美「所長、言い切りましたね……」
800「当然のことを言ったまでさ。
 よかったな、有友。誠実な人間が、最後には報われるんだ。少なくとも私のCGの世界では」
有友「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!」(号泣)
静乃「兄さん……うぐっ、ぐすっ」
唯「西御寺君……唯と二人で、この世の誰よりも、幸せになろうね」
静乃「兄を、よろしくお願いします。鳴沢さ……いいえ、『お義姉さん』」

800「自分で言うのも何だが、この作品はCGも文章も自信作だ。桂さんにも、きっと喜んでいただけたと思う」
知美「だからって掲示板の書き込みに、『秘孔を突く』は古いですよ、所長」
唯「友美ちゃん、院長はわかったみたいだよ。あんまり嬉しくて、プリントアウトした絵を抱きしめて、一晩泣き明かしたって」(ホントか?)
800「そこまで喜んでいただけると作者冥利に尽きるなあ。でも、私からも桂さんに礼を言わなければならない。
 実は、人物を細かく描こうとするあまり、原画をA4判ケント紙2枚に描いて、パソコン上でつなぎ合わせたんだが、その結果1200×830ピクセルという言語道断なサイズにしてしまったんだ。それを縮小せずに公開して下さったことに、感謝すると同時に申し訳なく思っている」
知美「そう思うなら所長、ここでも、フレームに合わせて縮小したCGじゃなくて、フルサイズのCGを公開すればいいんです」
800「じゃ、やるか」
・ ・ ・ ただいま作業中 ・ ・ ・
知美「はい、できました」
800「横解像度1280ピクセル以上のディスプレイでご覧のお客様は、ここをクリックして下さい
知美「ただし、ファイルサイズは222KBあります。アナログ回線で接続されている方は、考え直すなら今のうち」
800「よけいなことを……事実だけど」

友美「それと、もう一つ。最初の下書きが、ここに置いてあります」
800「これはまあ、ほんのお目汚しですが、私のCG制作過程の一部ということで」
(2000.4.1)
補足
「桂芳恵精神病棟」は、2004年11月19日限り、閉鎖されました。長い間のご厚誼に感謝いたします。
(2004.11.19)

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