下級生リレー小説:制作余話
制作 2000年10月1日〜

・第85話 「全てを知りたいから」
前回の担当からほぼ1ヶ月経って、また順番が回ってきました。
しかしこの間の状況を見るに、リレーSSとしてはそろそろ本格的に、終盤へ向けてストーリーの収束を図らなければならない時期にさしかかっているにもかかわらず、その方向へ向けて参加者の足並みが揃ったとは、どうも言いがたい状況が続いています。
前回第78話で、私がルール違反を承知で放ったプロットは、醜聞の当事者となった けんたろうと真由美が放校になり、自殺未遂事件を起こした愛も自主退学を迫られるといった、小説世界を揺るがす暴風となって吹き荒れるという事態にはなりませんでしたが、醜聞に巻き込まれた真由美が けんたろうから離れていき、麗子・涼子・静香・ティナといったところも けんたろうとのストーリーが進行する状況ではなくなって、最終的に けんたろうと結ばれるヒロインは、ほぼ瑞穂一人に収束するかと見えてきました。第80話ぶらぢるさんばさんの回で、その方向性が確定したと思いました。
ところが第81話そこつやさんの回で、第80話をぶち壊しにするような展開が持ち込まれました。
けんたろうと瑞穂が、何者にも妨げられることなくゴールへ向かって、手を取り合って歩みを進めていくことが、今の時点で最善のストーリーであるとは限りません。小説世界でのタイムリミットまで、まだ3ヶ月ほどありますから、ここらでもう一波乱も二波乱もあった方が盛り上がるでしょう。第82話なりぽしさんの回は、それを狙っての、麗子の巻き返しへの布石──今のところ誰もそれの続きを書いていませんが──と捉えることができます。
しかし第81話は、はっきり言えばそれとは次元が違います。読んでいただければおわかりになると思うのですが、けんたろうがギャルゲーマニア(それもかなり特殊な趣味と推測される)であることが瑞穂に露見するという、この時期にこの局面でこの設定を持ち出す必要があるとは、私には到底思えないレベルの話でした。
そのまま話は進展する様子を見せず、第84話雅丸さんの回が7月26日の未明に投稿されて、私の締切は31日未明になりました。
第84話の末尾で、いきなり脈絡なく「こみパ」の高瀬瑞希の名前が出てきました。こみパの瑞希シナリオは、主人公が足を踏み入れていく同人誌界に対して理由なき先入観を持っていた瑞希が、主人公の姿を見守っているうちに偏見を解いて、主人公を心から応援するように変わっていく、というシナリオであると推測していましたから(私は猪名川由宇シナリオしか終了していませんが、その中盤まででも瑞希が変わっていく様子がうかがえます)、これをうまく組み合わせれば、瑞穂と けんたろうを和解させ──もっとはっきり言えば今続いているエピソードに終止符を打つことができる、と判断しました。
そのための仕込みとして、こみパの瑞希シナリオを最後までプレイしてみる必要があろうかと考えたのですが、さすがにそんな余裕はありませんでした。しかも28〜29日の週末はチャットルームに行かずじまいだったので、ブレインストーミングをする機会もないままです。
30日の夜になっても、たった一つ、いや正確に言えば二つの方針しか決まっていず、具体的なプロットはほとんど白紙のままでした。こうなったら締切を延ばしてもらうか、あるいはパスすることも考えましたが、最後は「パスはしない」と「今のエピソードに自分の手で終止符を打つ」という意地だけで打鍵を終えました。
ですから出来栄えは読んでの通りです。今までで一番の「やっつけ仕事」になりました。
(2001.7.31)

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