『市民プールの夏』
市民プールの夏:
 暑中お見舞い申し上げます
『同級生2』より
「鳴沢唯」「水野友美」「篠原いずみ」です。
ネット上でお世話になった方々、お知り合いになった方々に、暑中見舞として差し上げたCGです。
暑中見舞という名目で取り交わされるCGは、時節柄、あるいはネット愛好者の方々の好みを反映して、女性キャラの水着姿が圧倒的に多いのですが、昨年私が初めてお贈りした暑中見舞CGでは、敢えてそれを避けました。
それはただ単に、みんながしたがる「お約束」なことをしたくないという天邪鬼にすぎなかったのですが、そうやってお約束から逃避した結果が浴衣というもう一つのお約束の域にとどまっているようでは、発想の貧弱さを露呈したとしか言いようがありません。
それに美術を専門に勉強する人が必ずヌードデッサンをやるのは、衣服でごまかしが利かない分、人体の構造(骨格・筋肉・関節)に対する知識とデッサン力が最も明確に現れるからだと言われているように、ヌードあるいはそれになるべく近い状態のCGを描くことは、リアリティのある人物CGを描けるようになるために、きっと有益なはずです。
そういったことがあって今年は、ネットデビュー以来3度目の夏にして禁を解き、女性キャラの水着姿のCGに挑戦しました。
やるとなったからには、CGを描く時の私のやり方、つまり普通の人が絵を描く時にあまり考慮しない、あるいは普通のギャルゲーでは故意に無視しているようなリアリティを徹底的に追求していくやり方を取ることにします。
具体的にはまず、学校のプールまたは公営のプールならば必ず水泳帽を着用させます。ゴーグルは必ず着用とは限りませんが、着用する以上は公式大会で使用を認められた形つまりこのCGに描いたような形に限定します。公営のプールなら着替えと貴重品はコインロッカーに入れているはずですから、その鍵を左手首に着けているのも基本です。
水着の形はギャルゲーではよくあるツーピース型ではなくてワンピース型、それも装飾の少ない競泳用、あるいは学校の授業で使っているいわゆるスクール水着にします。というのは、リアリティよりは私の趣味ですが……。
知美「そうやって人と違うことをしたがるのが、館長の癖なんですよね」
800「ああ、その通りだ。『人と違うことをする』ってのは、私にとっては最上級の讃辞と受け取ることにしているから。
 それに水泳帽と公式大会仕様のゴーグルを着用させるってことから、もう一つの大きな課題に挑戦することができた。わかるだろう?」
唯「もう一つの大きな課題……?」
いずみ「そういえば友美、眼鏡掛けないでちゃんと見えるのか?」
800「いずみ、いいところに気がついた。ゴーグルを着ける時は当然眼鏡を外すし、水泳帽をかぶる時には髪をその中へ全部入れて、しかも大きい髪飾りは外さないといけない。つまり、『友美の眼鏡とヘアバンドを外し』、『唯のリボンを外し』て、それぞれの人物だとわかるように描けるかという課題だ」
唯「ふーん、そうなんだ。でも唯、リボンを外すのは好きな人の前だけって…」
800「プールや風呂に入る時は別だろうが。
 実はこの挑戦に関しては、だいぶズルをしているけどね。唯は水着にゼッケンを着けているし、よーく見ると友美と唯の水泳帽には名前が書いてある」
いずみ「あ、ほんとだ。『水野』『鳴沢』って書いてある」
800「それとあとは、髪の色と量つまり帽子の後ろの膨らみ具合、虹彩の色。それでも誰か1人だけ描くのはまだちょっと自信がなかったから、3人一緒に描いて、身長や体型も加味すればわかるようにしたつもりだ」
いずみ「……つまり3人の中で、私がいちばん背が低くて胸も小さい、ってことだな!?」
800「あーそこそこ、拗ねないように」

800「ちなみにPlayStation版では友美と唯には、屋内プールに行く追加イベントがあるらしいが、2人ともワンピースとは言えファッション水着だし、水泳帽はかぶらずゴーグルは着けず、友美は眼鏡とヘアバンドを着けたまま、唯はリボンを結んだままプールに入っている。いかに現実を見ないで、イメージだけで絵を描いているかって証拠だな」
800「それから水着や小道具についても、3人それぞれの水泳能力がどれくらいか、もちろん元のゲーム(パソコン版)にはオフィシャルの設定はないけど、私のイメージを反映させてみた。
 まず唯は他の2人と違ってスクール水着、つまり学校の授業以外ではほとんど泳がない。左脇に挟んでいるビート板も、水泳が上手ではないことを表している」
唯「うー。800さん、意地悪だよ〜」
800「運動音痴って竜之介に言われて、『ゆーふぉーきゃっちゃーは得意だ』って言い返す段階で、運動が得意でないと自ら認めていると思うが。
 次に友美が左手に持っているのは、自由形やバタフライの選手が腕の力を着けるために使う、足に挟む浮き。水泳帽も他の2人のような布のメッシュじゃなくてゴム製だし、わかりにくいかもしれないけど耳栓をしている。ここらへんを使っているのは、選手のレベルだな」
知美「ま、まあ、私、じゃなくて水野さんはスポーツ万能って設定だから……」
いずみ「やっぱり友美、800さんにひいきされてるな」
800「いずみは2人の中間。小学生くらいの頃スイミングスクールに通っていたけれど、選手のレベルには達していない、っていうくらいだ」
いずみ「私はそれくらいだね。弓道部だし、他に稽古事もしてるし、水泳に打ち込んではいられないと思うから」

知美「館長、これで『水着は描かない』は返上したわけですね。今後はどうするんですか?」
800「うーん、そこだな。きっと『次は下級生キャラで』って言われると思うんだが、あっちは全員水着についてオフィシャルの設定があって、しかも13人中5人はセパレート型だ。あんまり描きたくないんだよな」
知美「よけいなこだわりを持つと、苦労しますね」
800「しょうがないだろ、競泳用水着やスクール水着が好きなんだから」
知美「…それ、人が聞いたら誤解しますよ……」
(2001.7.25)

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