西御寺静乃のモノローグ

静かな静かな秋の夜更け。
誰もいないと思っていた音楽室の戸を開けると、
ピアノの音が聞こえてきました。
兄さんが、ピアノを弾いています。

兄さんがピアノを弾くことは、去年の冬、ここへ来るまで知りませんでした。
兄さんは大学受験の間も、榊原先生のレッスンを欠かさなかったそうです。
八十八学園に入学してから、私も榊原先生のレッスンを受け始めました。
兄さんに、少しでも近づきたいから。

兄さんが弾いているこの曲は、
フェイ・メイ作曲「夜想曲（ノクターン）」。
榊原先生がおっしゃっていました、この曲は弾く人の想いを音にする曲だと。
だから今、私が聴いているこの音は、兄さんの想い。

なんて悲しい音なのでしょう。なんて切ない音なのでしょう。
なんて、癒されない痛みを湛えた音なのでしょう。
兄さん、全てに恵まれた兄さんがなぜ、
こんなに悲しくこんなに切ない想いを、こんなに癒されない痛みを心に秘めているのですか。

兄さんは今まで、こんな想いを心に秘めていることを、私には全く見せようとしませんでした。
その強さを、私は尊敬します。
でも兄さん、兄さんと私は血のつながった兄妹ではありませんか。
悲しみと切なさと癒されない痛みを、分かち合ってこそ、心もつながった兄妹ではありませんか。

私にはまだ、この曲（ノクターン）は弾けません。
でもいつか、兄さんの前でこの曲を弾く時が来たら、
私の思いをこの曲に乗せて、伝えます。
私の愛する、兄さんに。

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世界に冠たる西御寺萌えサイト、「桂芳恵精神病棟」への寄贈ＣＧ第２作です。
静乃「８００さん、PlayStation版にしか登場しなかった私を描いて下さって、ありがとうございました」
８００「どういたしまして」
静乃「あ、私をご存じでない方のために、自己紹介します。
　私は西御寺静乃、西御寺有友の異母妹です。PlayStation版に登場させていただきました。
　ゲーム本編では１５歳、中学３年生です。名門女子高校の受験のために、父の許に引き取られてきて……」
８００「ああ、ええと、静乃の紹介は、Ａコースの「八十八町の人々」にページを設けてあげるから、今は、ね」
静乃「……すいません」

初めはこの、ピアノを弾く西御寺には、「秋四景」の“芸術の秋”に登場してもらおうと思ったのですが、美沙、いずみ、友美ときて西御寺では、あまりにも場違いになりすぎると思ったので、やむなくお引き取り願うことにしました。
静乃「兄が場違いなんですか。悲しいです……（じわっ）」
８００「（あうっ、罪悪感が）いや、ほら、西御寺がピアノを弾くっていう設定は、パソコン版同級生２の本編には出てこない、『卒業生』での設定だし。例えばPlayStation版しかプレイしていない人には、唐突かもしれないと思ってさ」
しかし、クラシック音楽愛好家の私としては、「ピアノを弾く西御寺」というシチュエーションはどうしてもお蔵入りさせたくなかった。そこで西御寺兄妹のＣＧに変更し、西御寺萌えの聖地、桂芳恵精神病棟に寄贈することにしたのです。
静乃「本当に、ありがとうございました」

前の投稿作「避暑地にて」に付けたモノローグが桂さんのお気に召したようなので、またもやモノローグを作ってみましたが……。
前作以上の「こっぱ」な文章、しかも一部パクリが入っています。
知美「こっぱはともかく、パクリはやっぱり、ちょっと問題があったんじゃないですか？
　何でも構想中には、『You are my only...』まで入れようとして、あまりにブラコン、それどころか近親××の匂いまでしてきたので止めたとか……」
静乃「三津野さん、８００さんを責めないで下さい。私の想いそのままのモノローグ、私はとても気に入っているんです」
元ネタは桂芳恵精神病棟の投稿ＳＳ展示場、「きゅうちゃん様の部屋」をご覧ください。
静乃「『フェイ・メイ作曲「夜想曲（ノクターン）」』のところですね。あの作品には、私もちょっとだけ登場させてもらいました。榊原先生、幸せになれるといいですね……」
幸い桂さんは、私のパクリ行為を咎めるどころか、きゅうちゃんさんに元ネタを頂いた時の感激をよみがえらせたようでした。
静乃「ええ、院長はとても喜んでいました。『人生に疲れた私に一筋の光を与えてくれるようだ』と。
　でも兄は、鳴沢さんと結ばれないんですね、あの作品では」
８００「うん、その有友の『哀愁漂う男の背中』を描きたかったんだが……まだ実力不足かな？」
静乃「いいえ、そんなことは。……でも８００さん、いつか、兄が鳴沢さんと幸せになる絵を描いて下さいね」
８００「ああ、その方が桂さんも喜んで下さるだろうし。唯萌えの人たちから苦情が来たら、私が体を張って受け止めるから」
静乃「嬉しいです……（にこっ）」

知美「今回は、私の出番が少なかったですね」
８００「ああ……いい子だなあ……私もあんな妹がほしい……」
知美「所長っっ！！」 「桂芳恵精神病棟」は、2004年１１月１９日限り、閉鎖されました。長い間のご厚誼に感謝いたします。

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