釧路戦記 |
---|
第二十四章
一ヵ月以上も要塞に籠っていて、いざ出てきてみると、季節の変化を実感するものである。十月中旬とは言うものの気温は、東京の十二月初めに匹敵する。翌十七日の明け方、少し雪が降っているのに気付いた。そこで私は、今日又基地へ行って、冬用戦闘服と医薬品を受け取って来ようと考えた。昨日基地へ行った時には、まだ本部に届いていなかったので。午後二時、哨戒を終えた後、私は本部班の四人と共に、トラックで基地へ向けて出発した。 十八番川の谷から、北の丘への登りにかかった時だった。突然、凄じい爆発音と共に、車の助手席側が浮き上がったと思うと、私の体は宙に舞い上がったように感じられた。額を何かに強打して私は失神した。 一、二秒の後であったか、私は目を開いた。車は運転席側を下にして横転しているらしい。窓ガラスは割れている。額から血が滲み出ているようだ。助手席は大破し、そこにいた山岡の姿は見えない。私は床を這い上がり(床は直立しているのである)助手席から外を窺った。頭を出した途端、四方から銃声が起こった。弾丸が扉に当たって跳ねる。私はフロントガラスの割れた所から這い出た。ガラスの破片で少し手を切った。辺りを見回すと、数メートル離れた木の根元に浅野が倒れている。荷台を見ると、ここには誰もいない。私は意を決して、浅野の許へ這って行った。 「浅野、大丈夫か?」 彼は目を細く開くと頷いた。 少し離れた所に、敵兵の姿が見えた。私は伏射で一発放った。弾は過たず敵兵の喉を射抜き、その兵は倒れた。敵はこの銃声に気付いたか、四方から射かけてきた。木の間に見え隠れする敵兵を狙って射る。浅野も、小銃で応戦する。 五分程経った。 カチッ カチッ 弾丸切れだ。遂に均衡が破れた。私は今、一発の手榴弾も持っていない。いまや私は銃剣しか持っていない。 浅野の銃も弾丸が切れた。私は浅野と共に、トラックに這い戻った。辺りを再び見回すと、近くの木の根元に早川と山田を見つけた。二人とも銃を持っていない。 「銃はどうした?」 早川が苦しげに答えた。 「爆発した時に見失いました」 敵の銃火は尚も続く。車の鉄板に銃弾が当って立てる金属音が耳障りだ。 「山岡を探そう」 私は、気絶したままの山田以外の二人に言った。二人は頷いた。私は荷台を迂回して、元の車の下に当る所へ向かった。そこに山岡はいた。タイヤの陰から、健気にも拳銃で応戦しているが、すぐに射撃を止めてしまった。弾丸が尽きたようだ。私は、山岡の片足を引っ張った。山岡は振り向いた。私は言った。 「弾丸が無いのか?」 山岡は頷いた。 「ならそれを壊せ。降伏するぞ」 山岡の表情が変わった。 「降伏以外に助かる道は無かろうが」 山岡は黙って、拳銃のねじを外した。私は銃の遊底を外した。敵の手に渡っても銃が使えないように、である。他の三人にも命じて、銃の遊底を外させた。 私はそれから、すっくと立ち上がり、両手を高く上げた。敵の銃火が止んだ。敵兵が三々五々、林から出てきた。 敵兵は二十人程いた。私達はトラックの傍らに並んだ。私の右が山岡、左に山田を背負った早川、その左には浅野だ。 突然、五人ばかりの敵兵が、蛮声を上げて私達に殴りかかってきたと思うと、他の十数人の敵兵も、それに続いて私達に殴りかかってきた。敵兵の拳をかいくぐりながら敵兵の輪の外へ這い出すと、一人の無表情な敵兵が立っている。階級章は少尉だ。私は少尉に詰め寄った。 「お前が指揮官か!?」 少尉は表情を変えずに答えた。 「いかにも」 「だったらこいつらを鎮まらせろ! 俺達には捕虜としての待遇を要求する権利がある筈だ! 訳もなく殴られるのが捕虜としての待遇か!?」 「わかった。止めさせる」 少尉は、二十人ばかりの部下に命じた。 「止めろ! 止めろ!」 五人ばかりの敵兵はすぐ手を止めた。しかし、十五人ばかりは尚も四人を殴り続けている。手を止めた五人ばかりも、他の十五人を止めようとはしない。数人は、私に再び殴りかかってきた。少尉が喚いているが、手を止める気配はない。もはや暴徒と化している。 暫くして、私のまわりからは敵兵はいなくなった。私はその時、全身に打撲傷を負って地面に倒れていた。 「おい、指揮官、あの連中を止めさせろ!」 私は叫んだ。少尉は部下に命じる。 「おい、止めさせろ、止めさせるんだ!」 しかし敵兵は誰も制止しようとしない。どころか少尉に反駁している。 「敵を庇うんですか!?」 少尉は声を嗄らして叫び、やっとの事で部下を鎮めた。私は起き上がった。四人は埃だらけになって転がっている。 「どうも軍紀は今一つのようだな」 私は少尉に言った。 私達五人は武装解除され、二十一人の敵兵に周囲を固められて出発した。先程の一騒動で、全員が全身打撲の負傷であるが、休むことも許されない。十八番川の谷を渡ると、二十番川の谷の上流部を通って尾根に出、トライベツ川の谷へ下る小径を進む。小さな橋でトライベツ川を渡ると、道のない草地を歩く。一車線道を横切り、いくらか歩くと前方に、有刺鉄線で囲まれた建物があった。 (あれが収容所に違いない) 私の前を歩いていた山田がへたり込んだ。と、横にいた二人の敵兵が山田の尻を蹴り上げた。私は思わず口走った。 「捕虜には暴力を使うなと教育されなかったのか!?」 その時私も後頭部を強く殴られ、眩を感じた。私は少しもよろけずに歩き続けた。 収容所らしき建物に着いた。私達は門を入った所に一列に並ばされた。右から私、早川、山田、浅野、山岡である。四十くらいの、神経質そうな小男が歩いてきた。階級章は准佐である。私の脳裏にある思いがよぎった。 (あれがここの所長か。ろくでもない事になりそうだな。……どこかで見た顔だぞ?) その男は私達を睨みつけると怒鳴った。 「俺がこの収容所の所長だ!」 予想通りだ。四六時中苛々している人間というのは見ればすぐ分る。所長は山田の前へ歩いてゆくと、山田の頬をいきなり殴りつけた。 「その格好は何だ! 敗けた者でも、男ならもっとしっかりしろ!」 早川が叫んでいる。 「こいつは足に怪我してるんだ! 立つのが精一杯なんだ! 見てわからないか!」 「黙れ!」 所長は早川を殴り倒した。 「全くどいつもこいつも……。軍隊を知らない奴等め」 所長が呟く。私は心の中で罵った。 (お前は軍隊に行った歳には見えんぞ。何を偉そうな口を……) 私は言った。 「所長。軍隊を知ってるなら軍人勅諭を暗唱して貰えないかな」 いきなり拳が飛んできた。素速くそれをかわした。所長は苦々しげに喚いた。 「ええい腹が立つ。今夜はこいつらに飯を食わすな!」 私達五人は、私達を捕虜にした少尉に連れられて、南の方にある粗末な木造平屋建の建物へ向かった。私は言った。 「どうも我々を捕虜として扱ってくれるのはあんただけのようだな」 少尉は言った。 「今日は特別に虫の居所が悪いよ、所長は」 部屋の扉を開けて入ってみると、そこには二十人ほどの先客がいた。一番奥に太刀川小隊長がいる。 「お、矢板。吉川の後釜で小隊長になったんだったな。どこで捕まったんだ」 「それより太刀川小隊長」 太刀川小隊長は苦笑した。 「よせよ、お前も小隊長だろ。呼び捨てにしろよ」 「あ、じゃ太刀川」 「何だ?」 「八月二十九日の晩のこと……」 太刀川は顔を暗くした。 「あの時か……思い出したくもない。 あれから一ヵ月半ここにいるが、その間どうだ? 外の方は」 「さあ……。私も知らない。九月三日から昨日まで籠城戦をやってましたから。かなりの軍勢に包囲されて。最後には弾丸が殆ど無くなった」 「どうやって包囲を破ったんだ?」 私は太刀川の耳に口を寄せて囁いた。 「砲台の竪穴の途中から、トンネルを掘って脱出した」 「ふうん」 夕方になって、敵兵が食事を運んできた。 「飯だ。二十四人分」 太刀川は驚いて私を見た。 「どういう訳だ?」 「いや、あの所長を怒らしちまったもんで」 「またあいつの癇癪か……」 「いつもなんですか?」 「大体二日に一偏だな。この年まで四十八年生きてきて、あんな癇癪持ちは二人目だ。一人目は俺の親父」 「ふっ。軍隊の事ばかり言うから『軍人勅諭暗唱しろ』って言ったら殴られ損なった」 「軍人勅諭? そんなもの綺麗さっぱり忘れた」 その晩私達は、太刀川小隊の仲間達が分けてくれた飯を食べた。 八時頃、敵兵が二人来て言った。 「今日ここへ来た五人。尋問だ。来い」 おいでなすった。私達は立ち上がり、北の方にある建物に入って行った。部屋には机があり、それに例の所長が、手にペンを持って向かっていた。机の前の椅子に、まず私が坐らされた。私の後ろには二人の兵、所長の後ろにも二人の兵がいる。所長は例の苛立った声で訊いた。 「名前は!?」 私はそれには答えずに言った。 「一つ約束して貰いたい事がある」 明らかに所長は怒った。 「名前を訊いてるんだ!」 私は尚も続けた。 「我々二十九人を、捕虜として待遇する事を約束されたい」 「俺の尋問に答えろ!」 「具体的にはまず一つ、暴力を使わないこと」 「貴様あ……」 「次に一つ、正当な理由なしに食事を抜かないこと」 所長は椅子を倒して立ち上がり、私の衿首を掴み上げると思い切り殴った。 「この二つを守ると約束されたい」 私の頭、顔には拳の雨が降り注いでいた。 「もういい! 次! こいつだ!」 私は引っ立てられ、代って早川が椅子に坐らされた。所長は椅子に戻り、 「名前は!?」 早川は前方空中の一点を見つめ、 「日本国憲法第三十八条一項。何人も、自己に不利益な供述を……」 先刻の私とのやりとりですっかり頭に来ていた所長は、猛然と椅子を蹴って立ち上がり、早川に歩み寄ると、早川の胸板を力一杯蹴飛ばした。早川は椅子もろとも仰向けに倒れた。私は大声で言った。 「何を訊かれても答えるんじゃないぞ!」 所長は、私の方に向き直ると頬を殴った。 「貴様等この俺をなめてかかってるな。この俺、佐藤裕之を」 浅野がまぜっ返した。 「そりゃ砂糖は甘いもの舐めりゃ旨いさ」 床に倒れている早川は、いきなり顔を上げると、浅野と示し合わせたかのように、声を振り絞って大笑いを始めた。浅野も、体を反らせて、力一杯大笑いに笑った。私も、佐藤に向かって唾を飛ばしながら、腹の底から声を絞り出して呵々大笑した。四人の敵兵は、顔を引きつらせて笑いをこらえている。佐藤は、浅野の衿首を掴むと浅野にも拳の雨を降らした。そして床に転がっている早川の顔を踏みつけると、早川の後ろにいた兵に命じた。 「次、あいつだ」 今度は山田が坐らせられた。佐藤は机に向かうとペンを取り、 「名前は!?」 後ろにいた早川が叫んだ。 「佐藤裕之だ!」 佐藤は早川に向かって、持っていたペンを投げつけた。早川はそれを空中で捕えると、佐藤に向かって投げ返した。狙いは過たず佐藤の右頬に命中した。佐藤はインクの混った血を拭うと、凄じい形相で立ち上がり、早川に数十発の鉄拳を見舞った。それから椅子に戻って新しいペンを持ち直し山田に訊いた。 「名前は!?」 山田は重傷であるから答えられない。後ろの兵が言った。 「所長、こいつはかなり弱ってますよ。尋問できるようになるまでもう暫く待ったら」 「そうだな。それじゃ次、その女」 山田は引っ立てられ、山岡が坐らされた。 「名前は?」 今度は少し声が和らいでいる。 「私には手を上げないって約束して下さる? 私は女ですから」 山岡の言葉にも、何故か激しなかった。 「尋問にきちんと答えるならな」 私は叫んだ。 「答えたら駄目だぞ!」 たちまち佐藤の表情が険しくなった。 「貴様は黙ってろ! ……名前は?」 山岡は押し黙っている。 「名前は?」 「……」 暫くして佐藤はペンを置いて立ち上がった。 「名前も言おうとしない意怙地さは並大抵では無いが、しかしそれでは不便だから仮の名前をつけてやる。 そこの」 と私を指して、 「貴様、と呼ぶ」 (ふざけるのもたいがいにしろってんだ) 「そこの」 と早川を指して、 「お前、と呼ぶ。 そこの」 と浅野を指して、 「てめえ、と呼ぶ。 そこの」 と山田を指して、 「チビ、と呼ぶ。(山田は小隊一の短躯であった) そこの女」 と山岡を指して、 「あま、と呼ぶ。 おい、こいつらを連れてけ」 私達は部屋を出た。山岡は憤慨している。 「失礼ね! せめて『おんな』と呼んで欲しいわ」 「てめえ、よりいいだろ?」 したたか殴られた浅野が言い返す。 「自分の方がチビなんじゃないか」 山田が小声で苦しげに言う。 「あいつを呼ぶ時には何て呼ぼうか?」 早川が言った。 「甘い甘い砂糖、はどうかな」 浅野が答える。早川が言う。 「先刻のあれは傑作だったな。あれ程人をあざ笑ったのは何年振りだろ」 部屋へ戻ると太刀川が言った。 「予想通り、顔中腫らして帰って来たな」 「ああ、私は三十くらい」 「何でそんなに?」 「奴をからかい過ぎて。浅野なんか殺され損なったんじゃないか?」 「ええもう。五十や六十じゃ聞きませんよ」 「奴の手はまるで蜂に刺されたみたいだったな。殴りすぎて指潰しちまえばいいんだ」 私は太刀川に言った。 「奴はあれ、正常な性格の持ち主じゃありませんね」 太刀川は頷く。 「そうだ。俺もそう思う。皆の観察によると人を殴って悦んでるとしか思えん」 「そいつあ気違いだ」 「長野の言うところによると奴はサディズムの塊りだという」 「何ですかそのサジズムてのは?」 「今言ったように人を殴って悦ぶようなのさ。何でもサド侯爵というのに由来するっていうんだが、似てるだろ、たちまち奴を『サド侯爵』と呼ぶようになった」 「サド侯爵佐藤か。そりゃ面白い」 思い出した!! 二年前まで私の近所に住んでいて、十数年来私と憎み合ってきた男、そしてあの日、私の家に放火した男こそ、この収容所長サド侯爵佐藤裕之なのである。私は心の中で誓った。ここから脱出する前に、必ず奴を殺してやるのだ。私の家族三人の恨みを晴らすのだ。天に代って誅殺するのだ。 その時山岡が私に向かって、怒りを露わにした声で言った。 「矢板さんがこんな人だとは思いませんでした」 私は山岡に向き直った。太刀川も振り返る。 「いきなり何を言い出すんだ?」 山岡は続ける。 「昼間、あんなにあっさり降伏して、こんな所で捕虜になってるんだったら、何のためにあんなトンネルまで掘ったんですか? 降伏したくなかったから、あんな無茶な食い減らしをやって、トンネルを掘って生き延びようとしたんでしょう? それなのにあんなにあっさり降伏して、何のためのトンネルだったんです?」 私は答えた。 「昼間とあの時とは情勢が違ったんだ。いいか、よく考えてみろ。もしあの時、さっさと降伏していたらどうなっていた? 武器弾薬、食糧、薬、それに何より砲台がそっくり敵の手に渡る。あの砲台一つが、どれだけの価値があると思ってるんだ? だからこそ敵はあれだけの兵力を要塞包囲に向けたんだ。我々三十人を捕虜にするのが目的ではなかったんだ。三十人殺すためなら、東京の街中で手榴弾一発投げりゃそれで充分だ」 「それとこれとどういう関係があるんです?」 「何故俺が要塞を守ることにこだわったかと考えてみろと言ってるんだ。いいか山岡、降伏すればな、死なずに済むだけだと思ったら大間違いだぞ。塹壕一つでも、味方から敵の手に渡ることは軍事的損失なんだ。ましてあの要塞だ、敵の手に渡ったら我が軍にとっては大損失だぞ。一個中隊を全滅させる以上の大損失だ」 太刀川が口を挟む。 「俺が降伏したのを咎めるような言い方だな」 私は太刀川に答える。 「そういう積りじゃありません。その時の最善の判断が、降伏だったのなら、それを咎める積りは毛頭ありません」 私は再び山岡に向かって言った。 「もっと分かりやすい話をするぞ。俺達五人は、あの最中に降伏しようがすまいが、捕虜になったことには変わりなかった。しかし他の仲間はどうだ? お前の叔父貴とか」 山岡は負けじと言い返す。 「その代り二人死にました!」 「またその話だな。あの食い減らしは俺としては最善の措置だったのだ。やらなかったら、トンネルが貫通する前に食糧が尽きていた。それだけは間違いない。そうなったら、それこそ全員餓死だ。お前は二人死んだ二人死んだと言うがな、逆に言えば二十六人生き残ったんだ。それで良しとしないと」 太刀川が言った。 「食い減らし、ってどの程度のだ?」 「最終的には、戦闘要員とトンネル掘り要員が五割五分、他が四割」 「そりゃ少々無茶だったな。四割じゃ寝てるのが精一杯だぞ」 「結果的には、それで良かったと信じてます」 山岡が言った。 「話を元へ戻しましょうか。何で昼間あんなにあっさりと降伏したんですか? 弾丸が切れたくらいで」 「先刻の話の逆だ。敵が我々を捕虜にしたところで、得る物は壊れたトラックと使えない銃だけだ。我が軍としての軍事的損失は少ない。だから降伏したのだ。それにだ、あの状態で他に何かできたか? トンネルを掘るって訳にはいかんぞ」 「……つまり、軍事的損失との損得勘定で決めた、ということ?」 「そうだ。戦争なんか、大きな損得勘定だ」 山岡は呟いた。 「損得勘定で二人殺されてたまるもんか」 私は怒鳴った。 「何だと!? もう一偏言ってみろ!!」 山岡は私を嘲るように叫んだ。 「損得勘定の挙句に、こてんこてんに殴られて、いい気味だ!」 私は逆上して喚いた。 「うるせえっ!! 尻の青いメスガキに何がわかるか!! この役立たずの穀潰しが!! 鉄砲も射てん奴は要塞にゃ要らねえ!! 畜生奴!! あの三人と一緒に出て行きたかったんだろう!? 今からでも遅くない!! とっとと出て行って、ここの慰安婦になれ!! 戦場にゃ女は、慰安婦以外は要らねえんだ!!」 太刀川が叫ぶ。 「喧嘩なら外でやれ!」 私は黙った。 (2001.2.6) |
| |||
---|---|---|---|