下級生リレー小説:制作余話
制作 2000年10月1日〜

・第70話 「『恋人』カード」
リレーSSは第69話雅丸さんの回で7巡目が終わり、この際にまた担当の順番替えが行われることが、4月の末にそこつやさんから告知されました。
私はその頃ゲーム三昧で巡回も怠りがちだったので、リレーSSの進行状況も知らないままでしたが、5月5日にふと思い出して「そこつやの館」を巡回してみると、5月5日の午前0時過ぎに雅丸さんの回が投稿されていました。そして8巡目からの順番申し込みの期限が5月10日の午後12時であるにもかかわらず、順番について何の意思表示もしていなかった私に、8巡目の1番手を希望するかどうかの打診がありました。
第69話がうまい具合にストーリーに一区切りついて終わっていましたから、下手に後の順番を取って、前の担当者の終わらせ方次第で続きを書くのに苦労するよりも、ここで1番手に立候補して第70話を新展開で始めるフリーハンドを取る方が、少なくとも今回に限れば楽だと考えました。
しかしその反面、折悪しく5月5日には体調が悪くて気力減退が著しかったので、この状態で1番手に立候補しても体調次第では期限までに第70話を打鍵できなくなるかもしれず、それも無責任なのでしたくないとも考えましたが、結局は1番手に立候補しました。
幸い6日には体調が回復し、良さそうなプロットも浮かんできました。
第52話の制作余話にも書きましたが、普通の学校だと、秋は修学旅行・文化祭・体育祭といった学校行事が目白押しだと思うのですが、元のゲームでは卯月学園にはそういった学校行事が設定されていません。
とすれば今は、第52話を担当した時には時間不足で断念した、そういった学校行事を舞台にしたプロットを立てて、オリジナリティ溢れるエピソードを書く機会、それもおそらく最初で最後の機会です。なぜならこの次に順番が回ってくるのは5月末から6月初め、今までリレーSS中の日付は暦日とちょうど6ヶ月ずれて進んでいましたから、次に回ってくる時のリレーSS中の日付は11月末から12月の初めになる公算が大です。元のゲームでは11月16日からイベントスケジュール上「冬」となっていますから、次に順番が回ってくる時にはリレーSSの中の季節は冬になってしまっています。文化祭はまだしも、修学旅行や体育祭を初冬にやるわけにはいかないでしょう。
まあリレーSS開始時の取り決めからしても締め切りまでの時間からしても、「卯月学園修学旅行:京都・大阪5泊6日」なんていう壮大なプロットを1回の担当で書ききれるはずはありません。
浮かんできたプロットは体育祭の小さなプロット、それもこういったラブコメにはけっこうよくありがちなプロットです。お読みになった方にはおわかりの通り、「借り物競走」です。
借り物競走に出場した けんたろうが引いたカードには、「恋人」と書いてありました。さあ、けんたろうは誰を連れてゴールへ走るのでしょうか!?
 ……それは、次の担当者次第です。私は今回初めて、エピソードを完結させず、次の担当者に結末を委ねる形を取りました。
リレーSS全体がそろそろ中盤を過ぎて、けんたろうと誰を最終的に結ばせるかをめぐってストーリーの収束に向かい始めている時期でしたから、当然それを考慮した上でのプロットです。この時期に全校生徒の前で、けんたろうが誰を自分の恋人と見なすか。ここでの けんたろうの選択次第で、次回からのリレーSSの流れが大きく変わってくるかもしれません。
ただ、そうなると一つの懸念は、今までのストーリーの流れからして、十中八九デフォルトヒロインの瑞穂が選ばれるであろうということです。私の知る限り、次の担当者になる可能性の高いゼロさんは、なりぽしさんや私と違って、特定の(瑞穂以外の)キャラのファンであることを公言していませんから。
そこで、けんたろうと一緒にゴールへ走るヒロインに瑞穂が選ばれにくいように、瑞穂は体育祭直前に足を捻挫したことにしておきます。「恋人カード」のジンクスは、1着でゴールインしたカップルに限定されることにしてありますから、足を引きずった瑞穂を庇いながら2着以下でゴールインしても何の面白味もありませんし、得点上もC組不利です。
実際に誰が けんたろうと一緒にゴールへ走るか、これは次の担当者の胸先三寸、私が口出しする筋合いではありませんが、私としては けんたろうに選ばれる可能性のあるキャラとして、みこ・麗子・真由美・涼子・静香・ティナを想定しています。
成り行きの意外さに驚いているのですが、第69話で、下級生系二次創作の主役を張る率の高い真歩子は海外留学してリレーSSの世界から去り、美雪は慎二と結ばれています。
そこで、今まで登場頻度の低かった、従ってこれからリレーSSの世界で重要な役割を演じる可能性の低そうな2人、すなわち奈々と美夏も、けんたろうの恋人に選ばれる道を一応閉ざしておきました。奈々は1年A組の同級生を彼氏にし、美夏は稔と結ばれる方向へ進んでいます。卯月学園のグラウンドにいない真歩子は論外としても、もし けんたろうが美雪・奈々・美夏の誰かを選んだとしたら、きっと けんたろうには第71回以降の担当者によって天誅が下されるでしょう。
まさかと思いますが けんたろうが相手を選びあぐね、みこからティナまでの6人をまとめてゴールへ連れて行くという暴挙を企てる場合に備えて、恋人カードを引いた走者は2人以上の恋人を連れてゴールインしたら失格ということにしておきます。
その場合に最後に一つ残った不安要素としては、けんたろうが上の6人の誰かを選んだ場合、選ばれなかった愛が逆上し、けんたろうが失格になるのを承知の上で けんたろうと一緒に走るという捨て身技に出ることです。愛なら、それくらいやりかねないでしょう?
いっそ けんたろうが一人でゴールへ走るのもアリです。ただしその場合、けんたろうは全校生徒の前で「自分には恋人も恋人にしたい人もいない」と言明しなければ失格ですから、それを聞いたC組の同級生たちがどんな顔をするでしょうか。
 ……とんでもない投げ方をしてしまった気がします。次の担当者の方、頑張って解決してくださいね。
(2001.5.6)

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