下級生リレー小説:制作余話
制作 2000年10月1日〜

・第20話 「サボテンを買う女」
リレーSS2巡目が回ってきた時、1巡目の後半からずっと続いていた「美雪&愛編」は第16話ふりんとぶらっくさんの回でようやく終わって、第17話さんの回を挟んで第18話さんの回から新展開になっていました。
ヒロインが悶々とする話がいつまでも続くのはたまらない、という ふりんとぶらっくさんの意見に、私は同感です。
それに私は、元のゲームで美雪のシナリオを終えていませんし、一方愛は、きっと女性プレイヤーには一番嫌われるタイプのキャラではないかと思うこともあって、この2人を登場させるストーリーを書く意欲はほとんどありませんでした。もしこの2人を登場させなければならないような局面で順番が回ってきたら、リレーの奥の手「その頃○○は」を使おうと、本気で考えていたほどです。
その点は幸い、真歩子がメインになるストーリーで順番が回ってきましたが、ここで状況をよく見ると、下級生の中では私が一番気に入っている涼子がまだ登場していません。
そこで第19話じんとにっくさんの回に続けるのに、真歩子ではなくて涼子をメインにしてストーリーを作りました。
日付は始業式から1週間以上経っているものとし、けんたろうと涼子の関係は元のゲームと同じ、3年で初めて同じクラスになって、まだほとんど親しくなっていないという設定にします。涼子が登場した場面の直後、けんたろうが思い出すやりとりはほぼゲームのまま、その後の稔が足首を捻挫したという挿話は、元のゲームでちょっとだけ触れられる挿話と、第17話から組み立てたものです。
そして後半が話の中心になります。「枯れない花束」という楽屋オチアイテムに言及する けんたろうに、「咲いている盛りの花が美しいのは、いつかは枯れるからじゃないかしら」と涼子が説くくだりです。
キャンバスに描かれた花は、花の影に過ぎない。しかしそれでは、画家を志す涼子は自らの営為を否定することになってしまいますから、「それを実現しようと真摯に努力することが、別の意味で美しく崇高なものだから」と続けます。このあたりは私も、芸術には関心がありますから、「涼子ならこう言うだろうな」というだけではなく、私も涼子の立場にいたらこう言うだろうと思った台詞を文章化したのです。そして最後には、涼子らしい皮肉を利かせました。
ただ、涼子の台詞は、前後の文章の中では際立って浮き上がった台詞になっているかもしれません。投稿した後私が思ったように「ちょっと逝ってる」とまでは言わなくても、聞かされた けんたろうが痺れて涼子に惚れ込むような台詞ではないでしょう。
私が涼子を退場させ、1エピソード(ストーリーよりは短い)を完結させたからでもあったでしょうが、私の後を受けたなりぽしさんは涼子のストーリーを発展させず、また別のキャラに話を振っていきました。
(2001.2.23)

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