番外日記
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2001年11月7日(水)
エンディングを見たのは蓉子だったので彼女のシナリオについて詳述します。臨海学校(懐かしい響きですねえ)に来て海岸で溺れた蓉子に、若い男性が救命処置を施したのですが、その甲斐なく蓉子は儚くなったのでした。男性は慰霊のために木像を彫り、現場の近くに置いたのですが、いつの間にかその木像もなくなっています。
蓉子の願いは、その男性に会ってお礼を言うことです。そしてその前段として、滝に巣くう蜘蛛の妖怪に持ち去られた木像を取り戻すことが、重麿の最初にすることになります。蜘蛛の妖怪を退散させて木像を取り戻すと、次は木像を彫った男性を捜し当てることになりますが、公園で座敷童子に会うと、その男性は総合病院の院長であることがわかります。ですが病院には烏天狗が棲み着いているので、行きがかり上、烏天狗も退散させることになります。こういった妖怪を退散させる場面が、お手軽な戦闘ゲームの乗りで、選択を一つ間違えると妖怪に負けてゲームオーバー、です。
一つの命を救えなかったことから医師になることを志した院長に木像を渡して、蓉子の想いを伝え、蓉子には男性がその志を全うしている姿を見せると(それには蓉子の霊が重麿に憑いて、重麿が病院に行くという形を取ります)、蓉子の執着は解けます。そして蓉子が成仏していった後、重麿は蓉子の供養のために、僧籍に入って寺を継ぐ決意をします。
シナリオの終盤では、「(志を実現した医師に比べて)自分は優しさだけでは何もできないのではないか」と悩む重麿と、「その優しさがあれば充分ではないか」という蓉子のやりとりのような見せ場もあります。それからエンディング直前では、蓉子が成仏することイコール重麿の前にはもう現れないことですから、感情的にはそれをどうしても受け容れられない重麿と、それを諫めようとする蓉子のやりとり──幽霊との恋愛物では避けて通れないパターンではありますが、それが熱を帯びてきます。
しかし終盤、「ちょっと待ったぁ!」と叫びそうになったのは、重麿と心が通ってくるに従って実体化してきた(ように重麿には感じられる)蓉子との18禁シーンです。ギャルゲーとしては「必要なシーン」なのでしょうけど、ちょっとこれ、どんなものでしょうね? まあ、ギャルゲーに不可欠な18禁シーンをやるために、蓉子の霊が本当に実体化することはないことを前提とする代わり、蓉子の霊が一時的に、生きている女性の身体を乗っ取る、なんていうやり方よりはまだましですが。
それから、3体の幽霊たちとその願いを妨げる妖怪ども(蜘蛛や烏天狗)とは別に、何やらいろいろな物が出没するのですが、幽霊たちからのメッセンジャー役を務めることもあるネズミの妖怪以外は、はっきり言って悪趣味です。要はヒロイン格の幽霊たちとの18禁シーンが見られるまで、プレイヤーの興味を持続させるためだけに存在しているのが見え見えなのです。どこかで読んだ話ですが、「午後10時2分の法則」と同レベルの。
18禁シーンに関して言えば、冒頭と言っていいくらいの序盤に、いきなり海岸で理恵と重麿のHシーンが始まりますが、これは確かにシナリオをよく読めばその必然性が全くないとは言えないことが理解できるものの、唐突すぎるのもさることながら、いささか後味の悪いシーンでした。
(11月8日アップ)

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