それで名雪シナリオの全体像としては、幼馴みの従姉妹との関係が恋愛関係に変わっていくという、まあギャルゲーの王道ですが──その先を想像すると医学的な不安が払拭できませんが──祐一が名雪と別れた７年前の冬、祐一が全てに絶望し、全てを拒絶し、その冬の記憶を封印するほどに心を閉ざす原因となった出来事が何だったのか、名雪シナリオを終えても全くわからないこと、その時の祐一と同じように名雪が心を閉ざす原因となる出来事、すなわち終了直前まできて秋子が交通事故で危篤になるという出来事がいささか唐突、演劇用語で言うところの diabolus ex machina であるような気がするのが、かなり大きな弱点ではないかと思います。
それからこの名雪シナリオも、あゆがキーパーソンになるシナリオに分類されるわけですが、終盤に入って妙にあゆの姿が目につく反面、それがシナリオの核心にどうかかわっているのかも不明でした。