『7人目のヒロイン』 | |||
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PlayStation版『輝く季節へ』より「清水なつき」、『ONE』より「長森瑞佳」です。 | |||
久しぶりの新作CGです。 題材に選んだTacticsのゲーム「ONE」は、2003年に入ってからフルボイスのリメイク版が発売されたくらいで、発売以来人気の衰えることのない有名な作品ですが、そのあまりにも難解な世界観は誰にでも受け容れられるとは言い難く、世界観を理解できるかどうかで好悪が大きく分かれる作品と言わざるを得ないと思います。 かく言う私も世界観を理解できたとはとうてい言えず、そのためゲームはずいぶん前から断続的にプレイしていたものの、2002年の冬から中断したままになってしまっています。 ですからONEキャラを題材にしたCG制作も、MS-DOS版「同級生2」でメインヒロインの水野友美に出会って以来8年ぶりに「萌え」と呼べる感情を覚えた川名みさきのCG1枚だけで終わってしまうかと思われましたが、今年も衣替えの季節を迎えて、幸いなことにCG制作意欲が上向いてきた折、2001年の夏に続く第2次夏服シリーズの一環として、ONEキャラの夏制服姿を描くことを思いつくに至りました。 それというのもONEというゲームは、本編中に高校の制服が4種類も登場するという、一つの土地の一つの学校を舞台にしたゲームとしては稀有なゲームだからです。しかもゲームには夏制服のビジュアルがなく、私が知る限りではOAVやトレーディングカードなどでメーカーがオーソライズした夏制服もありませんから、ゲームで見られる冬制服から夏制服を想像するだけでもなかなかに楽しめると思います。 ONEキャラで第2次夏服シリーズを始めるに際してはもう一つ、黙し難き想いに駆り立てられました。 かつて「輝く季節へ」というタイトルでPlayStation移植版がKIDから発売されて以来、そのゲーム(以下「PlayStation版」と呼ぶことにします)には、なぜそれほどまでに、と思わずにはいられないほどの非難が浴びせられています。PlayStation版とKIDに対するだけではなく、とうてい承服しがたい、全く理不尽な非難までも一身に負わされた形になったPlayStation版の新キャラ、清水なつきが、インターネットの一角ではただひたすらに愚弄されるか、愚弄すらされず無視されるだけの存在となり果てていることに対する想いがそれです。 ──あなたも、ONEに登場する高校の制服は3種類だと決めつけてかかっていませんでしたか?
ですから第2次夏服シリーズの一番手は、当然、清水なつきを描きます。清水なつき1人で1枚の絵の主役を張ってもいいのですが、それでは対比がなくシチュエーション的にも面白味に欠けますから、他に誰かを描くことにしましょう。PlayStation版のシナリオでは、清水なつきは他のどのヒロインとも接点のない孤立キャラですから、誰を描いても条件は同じなのですが、ここは敢えて、パソコン版でデフォルトヒロインと位置づけられている長森瑞佳と組ませることにしました。インターネットの一角ではそのコミュニティを象徴するヒロインとされている長森ですが、「相手が強いほど萌える燃える」のが競う者にとって一面の真理なら、長森こそ清水なつきの相手とするに不足はありません。 長森「こんにちは。えーと、初めまして……かな? 清水なつきさん」 清水なつき「なつき、でいいよ。初めまして、だね」 800「PlayStation版のゲーム本編では清水なつきと長森の接点は全くないから、そういうことになるな。PlayStation版に清水なつきを登場させるに際して、DreamCast版『こみパ』の御影すばるのように、従来のヒロインたちと何らかの接点を持つストーリーを作ることができていたなら、あるいはまた違った結果になっていたかもしれない」 長森「そうかもしれないね。でも、わたしたちとは学校が違うし……」 800「他校の制服を着たまま潜り込んでいる生徒がいるそうじゃないか。それにクラスの生徒が1人増えても気にしないとかいう言語道断な教師が長森たちのクラスの担任なら、さらに1人増えたって気づかれやしないだろう?」 長森「わっ、800さん、浩平みたいなこと言ってるよ」 清水なつき「なつきは別に、浩平お兄ちゃんと一緒の学校にならなくてもいいけど」 長森「え? 浩平…お兄ちゃん…!?」 800「出たな、清水なつきの決め台詞が。これでもし、浩平と清水なつきが生き別れの兄妹だったという設定のシナリオになっていたら、PlayStation版はもっと話題になっていたかもしれないぞ。なにしろコンシューマ版なんだから、この手のゲームに血のつながった兄妹を登場させる時にいつも足枷になるソフ倫のあの規程は、最初から問題になる余地がないんだし」 長森「わわっ、それって、その、あの……(真っ赤)」 800「……今のは失言だった。撤回する」 清水なつき「……なつきの勝手な思い込みだったんだけどね。なつきの本当のお兄ちゃんは……」 800「あー、ストップ。そこから先は重大なネタバレになるから、PlayStation版をプレイしてもらうことにしよう」 清水なつき「PlayStation版、まだ売ってるかなぁ」 800「PlayStation版の新ヒロインが、そんな弱気なことでどうする。……まあ、インターネットを検索した方が早いかもしれないがな」 清水なつき「800さん、さっきから気になってたんだけど」 800「なんだ」 清水なつき「どうして長森さんは『長森』なのに、なつきは『清水なつき』ってフルネームで呼ぶの?」 800「待っていたぞ、その質問を。上の方にも書いてあるが、インターネットの一角に蟠踞する、パソコン版を神聖視するあまりPlayStation版と清水なつきを侮辱することを何とも思わない輩に対する、私なりの異議申立だ、これは。 私は声を大にして言いたいぞ。何が『清水な(略』だ。キャラクターの根本である名前を、勝手に省略することが許されていいはずがない。独立したシナリオを持つヒロインキャラに対するには、あまりにも侮辱的な扱いではないか。この訴えは毎日(以下略)」
長森「800さん、そういうことをここで言うのはどうかと思うよ」800「長森がそれを言っても説得力がないぞ」 長森「うー……でもそこまで言うんなら、わたしや里村さんのシナリオも最後まで読んでほしいよ」 800「さて、ONEキャラでの次回作は、七瀬が主演の予定だ」 長森「……800さん、ごまかしてる……」 (2003.6.28)
補足:
公開当初の題名は「2人のヒロイン」でしたが、思うところあって「7人目のヒロイン」と改題しました。
(2003.7.14)
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