番外日記
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2001年10月15日(月)
──ここから先の文章は相当、ある方面でのスラングで言うところの「痛い」文章になることを免れないのですが──
「納期」つまり所定の期日に責任を持って商品を提供することに関して、どういう意識を持っているのだろう、と思わずにいられないのは、コミケを初めとする同人イベントに際してです。
ホームページや直前のイベントで「新刊を出します」と広告していたサークルのブースへ行って、「新刊落ちました」という張り紙を見る経験をせずに済んでいる人は、己の幸運に感謝しましょう。逆に言うとそれくらい、新刊の制作がイベントに間に合わないことが日常茶飯事なのです。
イベントに際して最もサークルの見識を疑いたくなるのは、イベント会場でしばしば、サークルが来た形跡のないスペースを見ることです。午後2時とか3時といった、一般参加者もこんな時間からは来ないような午後の遅い時間帯にまだ来ていないのですから、日本の交通事情からしても遅刻ではなさそう、しかも早々と完売して撤収したのではない証拠には、「見本誌を提出していないので販売停止です」というような警告文が置いてある。邪推かもしれませんが、こうしてイベントを無断欠席するサークルの中には、新刊を落としたために雲隠れを決め込んだサークルが相当数存在するのではないでしょうか。
コミケのように競争率の高いイベントでは、1つのサークルが当選する陰には落選したサークルが存在するのですから、無断欠席は論外ですが、申し込んだサークルが無抽選で全部参加できるイベントであっても、無断欠席は客に対する信義違反であり、「事務局に参加費は払ってあるんだから」と言って済ませられるものではないでしょう。少なくとも新刊を落としたことを無断欠席の理由にするくらいなら、新刊を買おうと思ってブースに来た客に詫びて、場合によっては罵声をも甘受することが、客に対する最低限の信義ではないでしょうか。
幸いにしてイベントに間に合って発行できた新刊を買うと、たいていは後書きに、入稿日の朝にこの後書きを書いているとか、そのために満足のいく仕上がりにならなかったとか書いてあります。後ろの方に、何ページにもわたって埋め草のようなページがある本もたまにあります。このへんも、私に言わせれば見識の低さをさらけ出しています。
表日記に書いたことに似たことを書きますが、ある程度の経験を積んだ同人誌制作者なら、所定の入稿日までに自分がどの程度の仕上がりの何ページの本を制作できるか、つまり自分の同人誌制作能力を把握できていなければならないと思うのです。それができずにあれもこれもと新刊を欲張った挙句、入稿日に間に合わなくて落とすとか、間に合わせるために突貫作業したことを品質が落ちたことの言い訳にするというのは、企画・管理能力の欠落です。
夏休みの宿題は最後の一週間で終わらせる物、という流儀の人が多いのかもしれませんが、もっと余裕を持った計画を立てて、余裕を持って作業をしましょうよ、と言いたくなります。
(10月19日アップ)

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