『動と静』
動と静
『雫』より「新城沙織」「月島瑠璃子」です。
夏服の季節はカレンダーのはるか向こうへ去ってしまいましたが、「ある日の生徒会室」および「思い出の響き」に続く、第2次夏服シリーズ第2期の最終作です。
「雫」キャラクターによる夏服連作の締めくくりには、言い方は悪いですが最後に残った2人、すなわち新城沙織と月島瑠璃子を描きました。長瀬祐介?……誰ですか、それ?

沙織「ずいぶん遅くなったねー。体操着が半袖と短パンじゃ、いくらあたしでも寒いよー」
800「面目ない。『雫』キャラの連作を描こうと決めた時から、3枚目と4枚目で沙織と瑠璃子を描くか、あるいは3枚目で2人一緒に描くか、どっちにしても沙織と瑠璃子を描く、それも沙織はバレーボールをしているところ、瑠璃子は本を読んでいるところという、最も沙織らしい、瑠璃子らしい場面を描くことに決めてはあったんだが……」
沙織「じゃ、なんでこんなに遅くなったの?」
800「2人以上の人物を1枚の絵に描く時には、ただ一緒の画面に描いてあるというだけじゃなくて、何らかの接触、交渉のある場面を描くというのが私のやり方なんだが、そのやり方で沙織と瑠璃子を一緒に描こうとしたら、シチュエーションが浮かばなかったんだ。
 もともとゲーム本編では、沙織は事件の目撃者ってだけで、ゲーム本編が始まるまでは月島拓也とも瑠璃子とも太田香奈子とも、そしてもちろん長瀬祐介とも接点のなかったキャラだろう。制作の経過としては、読書している瑠璃子がふと顔を上げたところを先に描いたんだが、そこにどういう形で沙織を登場させるか、全然思いつかなくてさ。『雫』をプレイしたことのあるお知り合いの人とチャットしていて、やっと思いついたのが、昼休みに校庭でバレーボールをしていた沙織が、ボールを追っかけてベンチの前まで来て、ちょうどそこにいた瑠璃子をバレーボールに誘う場面。で、沙織がクラスの違う──同じクラスだったら瑠璃子も体操着に着替えているはずだから──瑠璃子に声をかける理由としては、勝手設定だけど『沙織と瑠璃子は1年の時同じクラスだった』ということにしてしまったんだ」
沙織「あれ、でもそうすると、月島さんと祐くんは1年の時同じクラスだったんだから、あたしと祐くんも同じクラスだったことになるよね?」
瑠璃子「そうだね。私と長瀬ちゃんは1年の時同じクラスだったから」
沙織「だったらあの事件の時、あたしは祐くんのことを知っていたはずだよ?」
800「1年の時に同じクラスだった生徒全員を、2年の3月になっても覚えているか? しかも相手は、同じクラスでありながら1年間、瑠璃子に声をかけることもできなかったほどの根性なしの、根暗で妄想好きのヒッキー野郎だ。私だったらそんなヤツの存在は、2年のクラス分けを知った瞬間に記憶から消去しているぞ、きっと。瑠璃子だって1年の時は、祐介なんか気にも留めてなかったんじゃないのか?」
瑠璃子「電波が使えるようになる前の私だったら……そうかもしれないね」
800「そうだろう? そしてこの連作は、毒電波の存在しない世界を描いているんだから、沙織が祐介と知り合う前提となるあの事件はなく、瑠璃子が祐介に目をつける動機も存在しない。よってこの連作に祐介が登場する余地は全くない。証明終わり」
沙織「……なんか800さんって、ずいぶん祐くんのことが嫌いみたいだね。どうして?」
800「なんだかな、根暗で妄想好きってのが、昔の自分を見ているような気がするんだ。そのくせ沙織や瑠璃子には、2人きりになる時を待ち構えていたように、あーんな事こーんな事してるし。祐介の2倍生きてきた私が、まだ一度も体験していない事をな。まあ主人公がそれをやらないと、エロゲーは成立しないわけだが……」
沙織「…………」(((((((−−;

800「この前、拓也たちにも言ったんだが、この連作ではあのゲームの世界観を根幹から否定することも辞さず、毒電波の存在しない世界を描くことにした。だからこの瑠璃子は、完全に正気を保っている。それを表現するのに使ったLeafゲームの約束事項は、知っている人なら一目見ればわかるはずだ」
瑠璃子「あ、そうなんだ」
800「チャットで『瞳にハイライトが入っている瑠璃子を描く』と言ったら、『イメージが湧かない』とまで言われてしまったがな。瑠璃子の瞳ほどじゃないが、沙織についても私なりの独自色を出そうとしたところがある」
沙織「あたしが穿いてるのが、ブルマーじゃなくて短パンだって事でしょ。夏だから、かもしれないけど」
800「その通り。季節に関係なく、今後もブルマーは描かないつもりだ」
沙織「どうして?」
800「第一に、現実に今の日本では高校女子の体操着にブルマーがほとんどないから。第二に、にもかかわらずCG描きと名のつく人みんながブルマーを描きたがるから」
沙織「……天邪鬼だね、800さんって」
800「それは私にとって、寿命が延びるほどの褒め言葉だと思ってるよ」
(2003.11.8)

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