『ある日の生徒会室』
ある日の生徒会室
『雫』より「藍原瑞穂」「太田香奈子」「月島拓也」「桂木美和子」「吉田由紀」です。
1ヶ月ぶりの新作CGには、Leafの出世作と呼ばれるにふさわしい元祖ビジュアルノベル「雫」のキャラクターを描きました。
題材としては、6月から8月まで「ONE」キャラで制作していた第2次夏服シリーズの続きになります。雫のゲーム本編には高校は1校しか登場しませんが、本編の季節が早春なので制服の設定は冬服しかなく、メインキャラの1人である藍原瑞穂をすこぶる気に入ったこともあって、いつか機会があったら夏服を描いてみたいと思っていました。
それと、今に始まったことではありませんが、メインキャラだけでなくサブキャラにも光を当てたいという意向があって、歴代Leafゲームの中でも扱いの低いサブキャラ、すなわち桂木美和子(右上の、ホワイトボードに向かっている子)と吉田由紀(右下の、右手を挙げている子)の、まともな絵を一度くらいは描いてみたいと思ったことが、今回の制作の動機です。
この2人は、太田香奈子と瑞穂の同僚の生徒会役員として若干の設定がマニュアルに載っていますが、長瀬祐介の視点から描かれているゲーム本編では、瑞穂の台詞の中以外では名前が表記されることもほとんどなく、彼女たちの台詞と明示されている台詞は一つもありません。
そんなキャラですから、もし、由紀と美和子を描いた1枚のイラスト──今となっては出所も思い出せませんが、葉鍵板最萌トーナメントに溺れかかっていた頃のある日、たまたま見つけたものです。それを目にすることがなかったら、こうしてCGを描くことを思いつきさえしなかったかもしれません。

800「そういったわけで、なんで今更と言われてしまいそうな気もするが、『雫』でCGを制作することにした。今のところ3枚連作になる予定だ。ただし、1作目の今回だけでなく、これから続く2枚にも、いわゆる『毒電波』と、それにまつわるセックスと狂気を描くつもりはない。それが雫の世界観の根幹をなしているのなら、この連作で私は、敢えて雫の世界観をその根幹から否定することも辞さないつもりだ」
拓也「僕たちの世界観の根幹を否定するとは、大きく出たねえ」
800「どんな形で二次創作をしようが、それは作者の自由だろう。今から描こうとしている絵に、題材に選んだゲームの世界観がふさわしくないと思ったら、その世界観は採用しない。そうでなくても毒電波や狂気は好きでないから、そんな物が存在しない、明るく爽やかな世界を描きたい……たとえ偽善者とそしられようとも」
由紀「あっ、柏木千鶴さんが、こっちへ向かってくるよっ」
800(びくっ!!)
由紀「……う・そ♪」
800「……はぁ、はぁ、びっくりさせないでくれ、もう……。
 でもまあ、由紀はそういう性格かもしれないな。ゲーム本編には全く反映されていないけれど、明るくおちゃらけた性格で、いつもみんなで瑞穂をからかっているようなキャラクターだって設定らしいし」
由紀「私たちの扱いがひどすぎる、それだけは不満ね。ゲームの主人公、誰だったっけ、香奈子と同じクラスの彼、彼が私たちを知らないからって、瑞穂が私たちに呼びかける台詞以外には私たちの名前もほとんど出てこないから、ゲームをプレイした人たちの間ではこう呼ばれてるんでしょ、私が『右子』、美和子が『左子』って」
(これは、2人が立ち絵で登場する際に、由紀が画面上で右、美和子が左に描かれることに由来するらしいです)
美和子「う、うん……」
800「A子とかB子なんて書いてある、非行少女の新聞記事じゃあるまいし。それくらい扱いの低い2人に、それなら私が脚光を当ててやろうと思って描いたのになー」
美和子「あ、800さん怒ってるみたいだよ……由紀、謝らないと……」
800「べつに怒ってなんかいないから、そんなに気弱にならなくてもいいって。マニュアルによると美和子は、気弱で赤面症な性格の持ち主らしいけど」
美和子「は、はい……」

800「さて、そういうわけで由紀と美和子に脚光を当てながら、狂気も淫靡も毒電波も存在しない世界を描くとしたら、2人とも生徒会の役員だし、それにゲーム本編での重要キャラは、拓也が前生徒会長、香奈子が副会長、瑞穂が書記と生徒会執行部揃いだから、これはやはり生徒会の執行委員会の情景を描くのが、ごく自然な成り行きだろう。時系列的には夏休み前あたりの、拓也が前期の生徒会長だった時期に相当する。成績優秀、性格穏和で、生徒のみならず学校側からの信頼も厚い生徒会長。明るく前向きで、同性にも異性にも好かれ、友達が多く、クラスではいつも人の輪の中心にいる副会長。副会長とは中学からの親友で、真面目で責任感の強い書記。そういった顔ぶれが、和気藹々とした、あるいはピリッと引き締まった雰囲気で執行委員会を開いている情景をね。
 キャラ的には、由紀と美和子の2人とはまた別の意味で、いちばん描きたかったのが香奈子だな。狂気に巻き込まれて変わり果てる前の、正気を保っている香奈子を」
香奈子「ゲーム本編のシナリオだと、会長の毒電波のせいで、私が一番ひどい目に遭ってるのよね」
拓也「……太田さん、僕が一方的に悪いような言い方じゃないか?」
香奈子「だって会長、本当に会長が愛していたのは、あの人だけだったんじゃ……!」
800「あー、そこまでそこまで。そこから先はネタバレになるから禁止だ」
香奈子「うーっ」
800「この点に関しては賛否両論あると思うが、ゲーム本編の拓也を、単なる悪人と断じることができるか、私はそうは思っていない。ネタバレしないように言うのは難しいんだが、運命に翻弄された拓也は、最初の被害者だったんじゃないか。それは誰か一人の罪ではなく、誰か一人だけが悪いのでもないと、初めてプレイした時から私はそう思っている」
香奈子「なんか納得いかないわー」
800「まあ直接の被害者から見れば、私の言い分は綺麗事だろうし、私は偽善者だろうけどね」
由紀「あっ、柏木千鶴さんが…」
800「またか。同じ手に二度も騙されないぞ」
由紀「800さんっ、今度は本当、本当に!」
美和子「ひぃっ……!」

……部屋の室温が三度ほど下がったような気がした……。

瑞穂「……香奈子ちゃん、800さんが千鶴さんに狩られちゃったから、私の出番がなかったよ……」
香奈子「瑞穂、次の作品できっと出番があるよ。次の作品には、私と瑞穂を描いたそうだから」
(2003.9.28 2003.10.25コメント補足 2005.4.10コメント改訂)

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