前回を担当してから、ずいぶん間が空きましたが、これは第一には第９５話の後で順番が回ってきた時、続きを書くことができなくてパスしたこと、第二にはリレー小説そのものが、９月末から１１月下旬まで停まっていたからです。
どうにかリレー小説が再開されて、順番が回ってきたので、今度こそパスだけはするまいと思い定めていたのですが、ここしばらくのリレー小説の状況を見るに、けんたろうが迷い込んだ恋路という名の迷路はいっそう混迷を極め、実人生で恋愛経験皆無の私が書くにははなはだ荷の重い物になってきています。
そこでどうするか、再開が決まった頃からいくつか考えはありました。
現在の混迷状態からの、最終的な出口は、けんたろうと結ばれるヒロインが誰か一人に決まることです（あるいは誰とも結ばれずに終わる、というバッドエンドもありかもしれませんが）。それへ向けての一つの策として、誰かを争奪戦から離脱させること。
離脱させるヒロインには、第９８話で日本を離れたことになっている涼子が相応しかろうと考えました。屈折した考えかもしれませんが、自分の進路をはっきりと見定め、才能を開花させるべく精進している涼子には、けんたろう争奪戦などという名の不毛な泥仕合に憂き身をやつしていて欲しくなかったのです。その流れで幾度か頭に浮かんだ妄想には、リレー小説の結末で、けんたろうと結ばれた代わりに大学進学を諦め、親から勘当されて友人も全て失った瑞穂に、葉月芸大に推薦入学を決めた涼子が と冷ややかな言葉を投げかける、なんていう場面もありました。
今からそこまで妄想するのは気が早すぎますが、争奪戦に加わっていない女性の目を通して、争奪戦の有様を、それもできるだけ冷笑的に語らせてみてはどうか、という考えもありました。リレー小説に参加している私自身が、果てしなく続く恋愛合戦というものにそろそろ倦んできたのかもしれません。
その線では、すでに慎二と恋人同士になっている美雪に「愛、もういい加減にしなよ」と言わせるとか、メインヒロイン格なのにずっとカヤの外にいた みこに「瑞穂ちゃんたちは、何をやっているんでしょうか」と言わせるといったことを想定していました。
ところが第９９話で、それまで争奪戦に加わっていなかった みこが突然名乗りを上げてきたので、みこを傍観者にする案は潰えました。
そして第１００話で、時間的にはまだ１月１日の午前中であることが示されたので、あまり難しく考えるのは止めて、ストーリーの進展にはほとんど貢献しませんが、正月の神社の風景をごく軽く書くことにしました。
誰かを傍観者にすることはできませんでしたが、登場する人物は みこと静香以外は、争奪戦に加わっていない人物です。そして みこには、けんたろうが神社に来ることを期待させておき、けんたろうが来たと暗示したところで終わらせました。
けんたろうが「誰かと一緒に」神社に来た、という展開になる可能性を残したつもりですが、第９９話から１００話にかけての流れの後で、私が登場させなかった誰かある女性と一緒に けんたろうが みこの前に現れたとしたら、けんたろうは単なる鬼畜でしょうね。