番外日記
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2001年11月29日(木)
はるか というキャラは、主人公の冬弥とは幼稚園以来という幼なじみです。しかもオープニングで語られているように、「人間、つきあいが長すぎると性別を無視できてしまうって実例が服着て歩いているような存在」だとか。実際、髪型といい顔の作りといい言葉遣いといい、男なのか女なのか判別に苦しむ要素が多く、しかもそれが非常に自然なのです。ギャルゲーにはよくいますね、女なのになぜか男言葉を使うキャラクターが。一般的にそういうキャラクターにはどうしてもわざとらしさが付きまとうものなのに、はるか にはそういったわざとらしさが全く感じられません。シナリオライターの力量というのでしょうか、不思議な雰囲気を醸し出しています。
そういう幼なじみの子との仲が、本人たちも意識しないほど微妙にしかし着実に変化していって、やがて男女の間柄になる。これはKanonの水瀬名雪がそうだったように、言ってみればギャルゲーの王道的シナリオなのですが、その過程も極めて独特というか、私が今までプレイしてきたどのゲームとも違う空気に満たされていて、しかも はるか という人物が、会話していると「異星人か?」と思うほど捉えがたい人物なので、何とも不可解な感覚がありました。
最初から恋人同士である由綺から離れて、はるか に心を惹かれていく冬弥の心理描写には、美咲シナリオの時と同じように由綺に対する罪の意識が常に漂っていますが、それに対して はるか の側は冬弥に惹かれていくことを、由綺に対する裏切りの意識よりも、男女という意識を持たなかった幼なじみの関係が壊れていくことを惜しむような意識として書いています。幾度か はるか の口から繰り返される、「こんなはずじゃなかったのにね…」という言葉によって。
しかも はるか には、テニスプレイヤーとして将来を嘱望されていた兄を交通事故で失ったという過去があり、それが時折見え隠れします。それを縒り合わせたシナリオは晦渋を極めます。クライマックスで はるか が突然テニスの練習を始めたり、アパートの自室へ連れてくると「私が死ねばよかったんだね」と口走ったり。はるか は冬弥に、亡き兄の姿を重ねていたのでしょうか。私にはほとんどわかりません。

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