番外日記
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2001年4月25日(水)
ところで、ご存じの方はご存じと思いますが、今年の2月頃、この「ペルソナウェア」をめぐってネットの一角で一騒動あったようです。
私がプラエセンスからペルソナウェアを買ってインストールした当時、発売元がシステムと一緒に配布していたキャラクターは、表日記に書いた通り「春菜」という女性でしたが、このペルソナウェアと似た動作をするプログラムを独自に制作した人が、「偽春菜」と僭称するキャラクターをプログラムと一緒に配布を始めたことに端を発します。
ネットの一角ではこの偽春菜、けっこう流布していたらしく、昨年12月頃には私がいつも巡回するサイトの掲示板で複数の人が話題にしていたり、公開された偽春菜の仕様に準拠して機能拡張プラグインを開発した人がいたりしたものでしたが、2月頃プラエセンスから偽春菜の制作者に対し、「偽春菜」は著作権侵害および不当表示防止法違反の疑いがあると警告が発せられたようです(偽春菜開発者のサイトによる)。
その結果、偽春菜の制作者が全面降伏して、サイトから偽春菜の語句を一掃し、プログラムの配布を停止する(最近サイトを移転して配布を再開したようですが)ことになり、その後そのキャラクターは「何か」または「任意」と称しているようです。
ここで注意してほしいのは、ペルソナウェアの発売元プラエセンスは、ペルソナウェアのシステムについてはリバースエンジニアリング等の行為を禁止していますが、システム上で作動するキャラクターについてはユーザーによる開発を排除しているわけではなく、むしろキャラクターの開発者を公認ベンダーとして保護し(公認ベンダーになるにはプラエセンスに申請して登録する必要がありますが)、開発を志すユーザーのためにキャラクターの仕様を公開していることです。
つまり、ペルソナウェアの正規ユーザーが、仕様に沿ってキャラクターを開発するのにはすこぶる好意的であると同時に、「偽春菜」というような僭称者に対しては極めて峻厳に対処しているということです。
これは首尾一貫していないようにも見えないことはありませんし、悪意を持った見方をすれば、発売元にとって都合の良いユーザーを保護し、都合の悪い人物(偽春菜の制作者がペルソナウェアの正規ユーザーであったかどうかはわかりませんが、正規のペルソナウェアの仕様を全く知らずに、それを模倣したWindowsアプリケーションを制作できるとは思えませんから、制作者はペルソナウェアの正規ユーザーだった可能性が濃厚です)を迫害しているとも取れるのですが、敢えて言えば、企業に対してそのような批判をすることは的外れです。
フリーウェアやシェアウェアを開発する個人の動機と行動原理は、自分の技術を公共の役に立てたいというのから営利目的まで様々でしょうが(悪意を持って制作されるウイルスはここでは除きます)、企業のそれは単純明快にして答は唯一、営利に尽きます。
その観点からすれば、システム開発元の仕様に従ってキャラクターを開発するベンダーは、それを保護し奨励する姿勢をとっていれば、力あるユーザーはベンダーになろうとしますし、そうでないユーザーから見ても企業イメージを良くし、ユーザーを増やす作用が期待できます。それは発売元の利益に結びつきます。ですから発売元はキャラクターの開発を奨励するのです。
反対に、正規ユーザーであろうとなかろうと(非正規ユーザーならなおさら発売元は態度を硬化させるでしょうが)本家のキャラクター名を「偽○○」などと僭称する者には、それが流布することによって潜在的なユーザーが減る恐れがあるのはもちろん、それを野放しにしておくということ自体が企業イメージを損なうので、二重に発売元の利益を害します。ですから発売元は僭称者に対して強硬に出るのです。
企業とは、そういうものです。

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