『FROM DAUGHTER』
FROM DAUGHTER(その1):
「おめでとう……友美」 
「それだけ?」 
「え、ええっと……いや、よく似合ってるよ……ウェディングドレス」 
「はぁっ……」 
 一つため息を付くと友美は再び椅子に座った。 
「い、いや……その、あんまり綺麗だったもんだから……」 
「お世辞はいいわ……催促するまで言わなかったの、あなただけよ」
FROM DAUGHTER(その2):
「話して……くれるんだな……」 
 龍之介はそう言って友美を抱きながら髪に手を差し入れてくれていた。それが判った瞬間、とめどもなく涙があふれてしまっていた。 

 どうして……どうしてここまで優しくしてくれるのだろう……ただの幼なじみなのに……どうして気遣ってくれるのだろう……
『同級生2』より「龍之介(主人公)」「水野友美」です。
Zekeさんが運営する有名なSSサイト、「88らいぶらりぃ」の80,000カウント記念に寄贈したCGです。
「同級生2」のWindows版が出てから3年が経った今、インターネットでの同級生2のブームはもはや過去の物に近く、かつて有力な同級生2SSサイトとして名を馳せたサイトがいくつも、残念なことに閉鎖したり同級生2コンテンツを撤去したりしています。
その中にあってZekeさんは、今もなお88らいぶらりぃに渾身の超大作「10Years」の連載を続け、あるいはかつてニフティの同級生パティオで発表されたSIMOさんたちの同級生2SSを再公開し、1999年の12月にはクリスマスSS企画を開催するなど、同級生2SSの灯を守るために日夜精力的な活動を続けられています。
99年7月頃から88らいぶらりぃのBBSに足跡を残すようになった私は、何か機会があれば一読者の域を超えて、Zekeさんをはじめ88らいぶらりぃの執筆陣の方々とお近づきになりたいと願っていましたが、文才の乏しい身ではクリスマスSS企画に参加することもできませんでした。
そんな折、2000年1月に私は88らいぶらりぃの70,000カウントを踏みました。
こうした切りのよいカウント(ウェブでは「キリ番」と呼ぶことが多いです)を踏んだ人に、記念CGやSSをプレゼントすることを習わしとしているサイトをいくつか知っていますが、88らいぶらりぃは「キリ番を踏んだ人がサイトにプレゼントしなければならないサイト」だと聞いていました。
というのはもちろん冗談だとわかっていましたが(お客様も本気になさらないで下さい)。
そうしているうちに2月、今度は80,000カウントを踏みました。
二度続けて万単位のキリ番を踏んだからには、ここは冗談を真に受けたふりをして、この機会に何かを寄贈して名前を売り込もうと企て始めたわけです。
Zekeさんは唯萌えと伺っていましたから、いつもの「贈り先の萌えに合わせる」やり方から行くと唯を描くことになります。
ですが、その当時サイトのトップを飾っていたのが唯萌えCG画家の大御所、やまさきさんの寄贈作品(もちろん唯)でしたから、それとの比較に堪える自信は全くないこと、10Yearsでの友美の活躍ぶりからするとZekeさんは友美萌えでもあろうと察せられたこと、そして88らいぶらりぃで最近公開された作品、Calvadosさんの「FROM DAUGHTER」が、自分的に近年稀なクリティカルヒットだったことから、熟慮の末、Zekeさんの作品の挿絵や単発の作品として唯を描くことは止めて、FROM DAUGHTERの挿絵を描くことに決めました。
800「さて、ここらでそろそろ、知美との対談モードに移るとしよう。知美」
知美「うっ、うっ、ひっく……えぐっ、えぐっ、うえっ、えっ……」
800「知美?」
知美「うっうっ、えっ、えうっ、うわああぁぁぁぁーーーー……」
800「……だめだ。仕方がない、龍之介、知美に代わってくれないか」
龍之介「しょうがないな。友美は小さい頃、本当に泣き虫だったけど、全然変わってないぜ」
800「えっとね、そこにいるのは龍之介の幼馴みの水野友美じゃなくて、三津野知美だからね」
龍之介「800さん、わざとややこしくしてるだろ」
800「あー、そこはいろいろな事情があるので、深く詮索しないように」
龍之介「……これだから大人は」

龍之介「800さん、何だかんだ言ってたけど、本当は『友美のウェディングドレス姿』が描きたかったんだろ?」
800「正直に言えばその通りだな。ゲームのエンディングでは結婚式のCGどころか、結婚したかどうかさえはっきり書いてなかったから。同級生2の、最も正統的なヒロインに対して、あの扱いはあまりに不当だ。トモミストとして、断固抗議の声をあげる必要があった」
龍之介「あんまり力むなよ」
800「では聞くが、龍之介、友美を○○の餌食にすることを容認できるか? 人間として、人倫と社会正義と公序良俗に照らして」
龍之介「○○の? そいつだけは御免だぜ。愛美さんを電動(正しくは天道です)に取られるとか、百歩譲って唯を金閣寺(正しくは西御寺です)に取られるのを許せても、それだけは許せないぜ」
800「そうだろう。そういうシナリオを作ったという一点において、あのゲームのシナリオライターは(以下削除)」
龍之介「まあまあ、先へ行こうぜ。○○のやつは俺がきっちりシメとくからさ」
800「私もやつには、応分の報いを与えたつもりだ」

龍之介「それで800さんは、これを描くのに、インターネットでウェディングドレスの写真を集めたんだって?」
800「そうそう。ウェディングドレスは純白だっていうのに、この前大失敗したからねえ」
龍之介「エンディングで俺と結婚する人は、可憐ちゃん以外はピンクとかブルーとか着てるけどな」
800「近頃の風潮はどうだか知らないが、あくまで正式にはウェディングドレスは純白だから。そこら辺にはこだわるんだ、私は」
龍之介「へいへい。で……何で友美、2枚目で泣いてるわけ? 1枚目も、あんまり嬉しそうな顔してないし」
800「まず原作を読んでみたまえ」

このページをご覧になっている方も、ぜひ原作をお読みになって下さい。
原作は「88らいぶらりぃ」「Calvadosさんのページ」にあります。

800「1枚目は前半、『一つため息を付くと友美は再び椅子に座った。』のあたり、2枚目は後半、『それが判った瞬間、とめどもなく涙があふれてしまっていた。』のあたりを想像して描いたつもりだ」
龍之介「ふんふん。感想だけど……ネタバレはだめなんだろ?」
800「なるべくなら遠慮してほしいな」
龍之介「そっか。……1枚目の背景、イマイチだな。結婚式場の新婦控室じゃないってのを表そうとしてるんだろうけど、なんかよくわからない」
800「背景か。いろいろ描くと説明的になるし、描かないとシチュエーションがわからないし、難しいよ」
龍之介「で、2枚目は思い切って背景を省略してみたんだな。グラデーションは初めてなんだろ?」
800「Adobe Photoshop5.0 LEを買ったんで、いろいろ試してるところさ」
龍之介「でもこのポーズ、どっかで見たよなぁ……」
800「あー、それもいろいろな事情があるので、深く詮索しないように」
龍之介「ちっ、またかよ」

龍之介「800さんもさあ、Calvadosさんへの感想で『友美SSを書こうと企てていた私の野望を粉砕し去った』なんて書いてないで、自分で書いてみたらどうだ? 友美と俺が結婚するSS」
800「書ければねぇ……(ため息)。
 あまりに優れた作品を見ると、逆に凹んで創作意欲をなくす、ってのを実感したからねえ、あれで」
龍之介「何だ何だ、もっと覇気を持てよ」
(2000.4.1)

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