『北辺の原野にて』
一面の原野、人の手になる物は何も見えず
原野を横切って延びる道路を走る車もなし
「麗子となりぽしの部屋」のチャットルームでお知り合いになった、Mちゃん ことMYKさんから頂いた写真です。
MYKさんのお住まいは北海道とのことですが、これは北海道の北端に近い、宗谷支庁のサロベツ原野で撮影された写真です。
海に近い平野部ですが、冷涼な気候と泥炭に覆われた土地のため、原野には木も生えていません。明治以降に日本人が開拓を始めてから1世紀以上も経ちましたが、今でも開発がほとんど進まず、見渡す限り、人の手になる物は道路しか見えません。この日本に、今でもこんな土地が存在しているのかと、信じ難くなるような風景です。
文明から取り残されたようなこの土地は、今では逆に人間の影響を受けていない貴重な自然を残す土地として、昭和49年に利尻礼文サロベツ国立公園に指定されています。
地元の豊富町や豊富町観光協会のホームページには、晴れた日の写真ばかりが載っていて、明るい陽光に溢れた土地のような印象を受けるのですが、この写真のように曇った日に訪れたら、この土地のあまりにも寒々とした風景に、耐えられなくなってしまう人がいるのではないでしょうか。

(2003.8.18)

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