番外日記
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2004年4月2日(金)
ところで新聞などを見ると、比較的まともな論調を載せている新聞でも
「痴漢は犯罪です──国民年金の保険料未納も犯罪です」
「喫煙は犯罪です──国民年金の保険料未納も犯罪です」
と言わんばかりのキャンペーンを張っていたりしますが、それを見ていて思い当たったことがあります。
というのはつまり、国民年金制度が今破綻するのを最も恐れているのは、50代後半、つまり長い間保険料を払ってきて、もう少しで年金が満額もらえるはずの年齢層ではないのか、ということです。
今ここに59歳の人がいるとして、その人は39年間国民年金制度が破綻しないことを信じて保険料を払い続け、あと1年間保険料を払えば年金が満額もらえることを当てにしている人です。そういう人にとっては、長い間にわたって多額の保険料を積み立てた国民年金制度が、自分が年金をもらえる寸前になって破綻することは悪夢そのものでしょう。
それに対して保険料の未納が増えているとされている若い世代はどうでしょうか。今ここに私と同じ34歳の人がいるとします。その人は14年間保険料を払ってきているはずですが、年金を満額もらえるためにはあと26年間保険料を払わなければなりません。そういう人にとっては、26年後に自分が生きているかどうかもわからないのだし、極端なことを言えば国民年金制度が今すぐ破綻して、保険料を払わなくて済むようになってくれれば、「ドブに捨てた金が少なくて済んだ」と思えるのではないでしょうか。
そこからさらに考えたことは──もう毎度お決まりのマスコミ性悪説ですが、例えば新聞の紙面で「国民年金の保険料を払わせるキャンペーンを張ろう」というようなことを言い出すのは、新聞社の中でも上層部、すなわち上に書いた、もうすぐ年金がもらえる年齢層に違いないということです。国民年金制度延命キャンペーンを張ろうと言い出すのは、そういうことを言い出せる地位にあり、しかも「国民年金制度がいつ破綻するか」がもうすぐ自分の利害に直結してくる人に決まっている、と。
だからマスコミなんてそんな物なんです。マスコミに載る「声ある声」なんてのは、マスコミの上層部が、自分たちの利害のために、自分たちの地位を利用して作り出した物に過ぎません。断じて、国民の本当の総意なんかではありません。
(4月19日アップ)

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