番外日記
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2002年5月27日(月)〜29日(水)
このゲームはシステム的にはビジュアルノベルで、序盤での主人公(遠野志貴)の行動次第でシナリオが分岐していきます。ヒロインは5人、志貴が町で出会うアルクェイド、学校の上級生シエル、妹の秋葉、遠野家の使用人の翡翠と琥珀で、それぞれにシナリオが用意されています。
資料集「月姫読本」に載っているチャートによると、初プレイではアルクェイドかシエルのシナリオしか選べないようなので、私が初プレイで選んだヒロインはシエルでした。シエルが眼鏡っ娘だったからかどうか、それはご想像にお任せします。
感想ですが、プレイする前に目にした評の通り、ビジュアルノベルの古典「雫」「痕」の影響を強く感じます。吸血鬼という運動能力も生命力も生身の人間を遙かに凌駕した存在、特に肉体が滅びても(通常の物理的方法で吸血種の肉体を滅ぼすことはまずできませんが)意思が転生を繰り返す吸血鬼ロアのモチーフは、痕の主題であるエルクゥの血脈を思い出させるものがあります。自分に転生したロアが覚醒しつつあることに気づいた志貴と、ロアが存在している限り生き続けなければならないシエルが刺し違えるバッドエンドは、まさに痕の、エルクゥの血が覚醒したことを悟った柏木耕一が千鶴の手に掛かることを求めたバッドエンドを彷彿とさせました。その一方で、「物の『死』が見える」という特異能力を持っている志貴の脳内描写の文章は、雫のそれを思い出させます。
シナリオが分岐するといっても、シエルシナリオのキーパーソンであるロアとアルクェイドは深い関係があるので(そもそも生身の人間であったロアが吸血鬼になったのは、元からの吸血鬼((ゲームでは「真祖」と呼ばれる))であるアルクェイドから血を与えられたから)、シエルシナリオの土壇場までアルクェイドが登場してきます。とすればアルクェイドシナリオでも最後までシエルが絡んでくることになるのでしょう。

それはそうとして、ゲームの終盤になってロアの口から、ゲームの主人公は本物の遠野志貴ではないという事実が明かされますが、それを読んだ途端に「あっ、これは主人公と秋葉のエッチシーンを実現するための免罪符だな」と確信した私は、すっかりギャルゲーずれしているな、と我ながら思います。
これだけ存在感のあるキャラ──妹、素直でない、加うるに貧乳という──を出しておきながら「エッチできない」では、かなり多くのプレイヤーにとっては「蛇の生殺し」でしょうし、さりとていくらソフ倫を通さずに流通することのできる同人ソフトだからといって、ソフ倫を受審すれば一発でアウトになる、血縁の妹との近親相姦を描写する危険は冒せなかった、そこで……となったのでは、と想像しているわけです。
そうしてみると、ソフ倫加盟のゲームメーカーが制作するゲームでは、この抜け道はもはや常套手段なのかもしれません。「加奈」を制作したD.O.は、ソフ倫の設立メンバーですし。
(5月31日アップ)

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