番外日記
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2002年4月19日(金)
「ONE」初プレイの感想ですが……私には理解不能です、このゲーム。
両親がいなくて叔母(といっても仕事が多忙で、ほとんど姿を現しません)の家に身を寄せている、という以外はごく平凡な高校2年生である主人公(デフォルト名は折原浩平。名前を変えると、名前が固定されているPlayStation版のボイスが不安定になるかもしれないので、名前を変えずにプレイしました)の、11月30日から始まる日常生活が軸になっています。母親代行のような長森瑞佳や転入生の七瀬留美との掛け合いの妙味が序盤の彩りとなっているのですが、やがて1年生の澪と出会って、次第に絆を深めていく、それは私でも理解可能です。演劇部所属、主人公とのなれそめが、学食で浩平の背中にうどんの丼をぶちまけたことという、お約束的にそそっかしい子ですが、なぜか全く声が出せず(耳は聞こえるはず)、発言の代わりにスケッチブックを使っています。
序盤、ごく初期のうちから、「永遠」というキーワードで表現される不思議な風景が、平穏な日常生活の中に唐突に割り込んできます。これからしてまず不可解なのですが、年末近くなって浩平が、それまで幽霊部員だった軽音楽部から「澪を見守るために」演劇部に入るあたりから、「残りの時間を云々」といった台詞が出てきます。末期癌や慢性腎不全で余命何ヶ月と医師に宣告されている霧原須摩子や藤堂加奈ならいざ知らず、五体満足な浩平が、しかも軽音楽部の幽霊部員であることが象徴するような怠惰な日常を送ってきた浩平が、有意義な時間の使い方に目覚めたとたんに自分の余命が幾ばくもないような言い方をする。「永遠」の風景の中での語りは、時の流れとともに有為転変する此岸の世界を、浩平が時も静止した彼岸の世界に身を置きながら眺めているような印象があるのですが、頭をひねりながら進めていくと、やがて浩平は幼い頃に みさおという妹と死別していて、それ以来、流れる時の中に現世を生きることを心のどこかでは拒否しているような様子が見えてきます。
それならば澪と一緒に生きる決心をすることで、現世を生きることを拒否することを止めるのか、と思うのが普通だと思うのですが、そのとたんに今度は浩平の周りにいる人たちが「浩平を忘却し始める」という、さらに不可解な現象が発生してきます。そしてその行き着く果ては、現世から消滅すること──ここに至って匙を投げました、私は。
トゥルーエンドに至る選択を正しく選んでくれば、エンディングに至って浩平は現世に戻ってくる──それまで浩平のことを忘却していた、澪以外の演劇部員も浩平のことを思い出す、という具合になるのですが、その前段としての「消える」ことが理解不能ですから、どうにもなりません。
(4月22日アップ)

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