番外日記
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2001年7月10日(火)〜12日(木)
まずゲーム全体の評ですが、
シミュレーションゲームのマイナス面が露呈してしまったな、という感が拭えません。
第1回のこみパ(同人誌即売会の名称である「こみっくパーティー」を、以後カッコなしで こみパ と書きます)が5月6日、それから1ヶ月強の間隔で翌年3月29日まで11回のこみパがあり、1回でも新刊を落とすとゲームオーバーなので、こみパに向けて毎月せっせと原稿を描くのがプレイの中心になりますが、約1年間このルーチンワークを続けるのは、正直言ってダルいです。
常連の方の中に、ひいきにしている方が多いゲームの名を挙げるのは、多少気が引けないでもないですが、アドベンチャーゲームとしての「同級生3」たることを拒んでシミュレーションゲームの色彩を強く打ち出した「下級生」が陥った落とし穴に、「こみパ」も陥ったと言うべきでしょう。
1年間の前半は、同人誌を速く綺麗に描けるように、腕を上げるための練習が平日の主な作業になりますが、なるべく腕を上げてから原稿を描きたいところですから、できるだけ遅くまで練習してから原稿作成に移る、その切り替え時期の見極め(修羅場モードに突入して入稿締切日に間に合うかどうか)にかなりのスリルがあります。まあ同人作家としては、あまり健全なあり方ではないですね。
しかし真面目に練習に励んでいると後半には「もう練習は不要です」という状態になってしまうので、そうなるとこみパから次のこみパまでの期間の半分は、することがなくなってしまいます。
プレイ期間1年、その間学校行事が全くない「下級生」と似て、めぼしいイベントもほとんどない(こみパ自体がイベントといえばイベントですが、毎回参加して新刊を出すことを義務づけられてしまうと、学園ものゲームに置き換えれば、こみパは学校行事ではなくて定期試験またはレポート提出みたいなものです)このゲーム、もし女性キャラとの愛情を深めるストーリーがなかったら、到底プレイするに耐えないゲームになっていたかもしれません。
それではその、女性キャラとの愛情を深めるストーリーですが、初プレイでゴールインした猪名川由宇に関しては、まあ及第点をあげましょう。
同人活動に身命を賭するあまり、ゲーム冒頭で準備会スタッフの牧村南が言うところの「危険な行為、または道義的に反する行為等」を行ってばかりいる(タクシー乗っ取りに始まり、会場での盗電、駅構内での線路の横断、最後は雪で立ち往生した高速バスからの雪中行軍)ゲーム随一の暴走キャラですが、最初は男女の間柄というよりこみパという戦場で共に戦う戦友(comrade)と呼ぶのが最もふさわしい間柄であるのが、9月こみパの前に転がり込んできた時から意識が変わり始め、10月こみパでの決裂を経て男女の間柄になっていく──まあ、この手のゲームではありがちな展開ではありますが、メインメンバーのうち一人だけ遠隔地に住んでいる設定にするために導入したと思う「神戸在住・筋金入りの関西人」という設定にも無理がないと思います。
もっともお知り合いの方は、「いいヤツなんだけど恋愛の対象にはならない」と言っていましたが……私も同感です。
由宇の造形とはちょっと話がずれますが、ゲーム最終盤の「雪で高速バスが立ち往生」という事態は、西日本から冬コミに参戦した人たちが、雪の関ヶ原越えで幾たびとなく苦杯を飲まされたことなのかもしれません。私も高速バス愛用者ですから、このあたりのリアリティにはうなずけました。
これは揚げ足取りに近いですが、リアリティを追求している割には同人誌界の実態を無視しているような部分がないとは言えません。
コミケ初参加のサークルが、表紙モノクロ、24ページのオフセ本を1冊500円で売って、100冊完売しますかね? ジャンルによるのかもしれませんが、私が実際にコミケで見た感じとしては、初参加の無名サークルがギャルゲーの二次創作本をこの仕様で作ったとしたら、1冊300円で20冊売れたら御の字ではないかな、と思います。
(7月12日アップ 11月8日分離)

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