『本来のクリスマス』
本来のクリスマス
『同級生2』より「水野友美」「竜之介(主人公)」です。
ネットでお知り合いになった方々に差し上げた、クリスマスの絵です。
といっても、毎年のことながら「みんなが描くような『お約束』な題材では描くまい」としたせいで題材が浮かばず、一時はクリスマス絵を断念して年賀絵の制作に専念しようとまで考えました。
ようやく題材が浮かんで制作に取りかかったのは、年賀絵の制作に取りかかった後の2005年12月15日でしたが、制作に取りかかるのが遅れた上に、制作中の12月20日過ぎに3号機が故障し、修理から戻ってきたのが1月末になるというトラブルに見舞われました。
その他にも事情があって、完成したのは年を越して2006年2月14日、西洋の習慣で言うところの「クリスマス季節(Christmastide、12月25日から1月6日まで)」どころか、世間一般にはバレンタインデーと呼ぶ日になってしまいました。

ここまで制作が遅れたのに、2006年のクリスマスに順延もせずお蔵入りにもしなかったのは、クリスマスという年中行事について、パソコンゲームに限らず世間一般を覆っている風潮に対して異を唱えることができる、と心に期すところのある題材で制作したからです。
クリスマスにつきものの人物というと、この日本ではイエス・キリストより先に名前が出てきかねないのがサンタクロースですが、サンタクロースの由来は4世紀の司教 聖ニコラウス(または聖ニコラオ St. Nicholas 祝日は12月6日)にあります。聖ニコラウスは、3人の娘がいる貧しい家にそっと金貨を投げ入れて、娘たちが身売りされる窮地を救ったという伝承にちなんで、子供の守護聖人とされているので、聖ニコラウスがクリスマスイブに子供たちにプレゼントをくれる、という風習を全面的に否定するつもりは私にはありません。
しかしサンタクロースの装束と聞いて、誰もがすぐに思い浮かべる装束は、白い縁取りをした赤いコート、てっぺんに白い毛玉のついた赤い帽子でしょうが、このような赤ずくめの装束というのは、古来ヨーロッパでは「悪魔」のイメージだったそうです。
ということを知ったとたん、日本で一般に行われているクリスマスの風習が、キリスト教とは似て非なる淫祠邪教に感じられてしまったのは、我ながら似非クリスチャンの度が過ぎますが、もう少し調べてみると、ドイツやオランダではこんな風習が残っているそうです。
聖ニコラウスの日には、ミトラに祭服という司教の扮装をしたニコラウス役の男性と、赤い装束に身を包んだ悪魔役の若者が一組になって、家々を回ります。二人とも大きな袋を担いでいます。ニコラウス役はプレゼント入り。悪魔役のはカラ袋です。良い子には、ニコラウスが自分の袋からプレゼントを出して与えますが、悪い子には、悪魔が、カラの袋に放り込んで地獄へ連れて行くと脅します。来年は、きっと両親の言いつけを守ってよい子になると約束し、贈り物をもらって、めでたし、めでたしということになります。
「カトリック中央協議会」ホームページ内「待降節とクリスマス(降誕祭)」
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/memo/christmas.htm から引用。太字は原文通り
ということがわかったので、この風習に基づいた絵を描くことにしたのです。
同級生2のメインヒロインである友美が演じる聖ニコラウス役の装束は、カトリック教会の司教の正装ですから、もちろんインターネットで資料を集めて描きましたし、竜之介が演じる悪魔役の装束は、これもインターネットで得たいくつかのイメージに基づいて、ただし以前あるキャラを描いた時ほど醜悪ではなく、どちらかというとコミカルに描いたつもりです。
(2006.2.14)

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